『あなたも猫カフェ』においでませ｜リアクション

『あなたも猫カフェ』においでませ

「ナガレとオサム、うらまやしいデス」
　猫に相手にしてもらえないトワは、ふうっと息を吐いた。
　でもそれならば、トワにだって作戦がある。彼らを真似すればいいのだ。
「次はsweets　オカシー大作戦デス。ささみこーを使うマス」
　赤と白に包まれたささみこを注文。運ばれてきたそれを差し出すと、サバトラちゃんが、やっと近ついてきた。
　その後ろからは、またもキジトラパパさんが。
「キジトラも遊ぶデス？　では食べたら遊ぶマス」
　二匹はその言葉を理解したように、ささみこに顔を寄せ、もぐもぐと食べ始めた。
「やっぱり、食べ物、ねこ、すきデスネー」
　トワはサバトラの体を撫ぜようと手を伸ばす……が。
　サバトラが、「うにゃー！」とまるで、睨む顔。
「ごはん、邪魔したからデス？　頑張っても、haedデスネ……」
　ちらりと、テーブル席を見る。
　そこでは、食事を終えた流の膝の上で、さっきの黒猫がちゅるりらんを舐めていた。

「おお、かわいいなあ……」
「こっちの子も、すごい食欲」
　陽毬が見つめているのは、大食らいのシマ三毛猫だ。
　後から来て、頼んだまぐろんを、がつがつと食べ続けている。
　それほどの勢いとなれば、当然気になることは、ただ一つ。
「猫ちゃん、それ、おいしいの……？」
　問えばミケしま猫が、食べ物を口に入れたまま、ちろりと陽毬を見た。
　まるで「あげないぞ」と言っている表情に、陽毬は思わず笑ってしまう。
「いや、猫ちゃん用だから、私は食べないけど」
（でも、興味はあるよね……）
　と、うっかり伸ばした手に、ミケしま猫が、猫パンチ。
「本居、猫のやつ食うなよ。足りなければ、人間の注文しろ。もう追加でも何でも、おごってやるから」
　流はそう言って、黒猫ちゃんの背をさらりと撫ぜた。
「あーあったかいし柔らかいしかわいいし、最高だなこれ。おーいトワもそんな気負わないでさ、落ち着いて触れてみろよ」
「おちつく、ですか」
　突然の流からのアドバイスを受け、トワはキジトラパパに、ゆっくり手を伸ばしてみた。
　キジトラパパが、トワの手を舐める……かと思いきや
「あああ、どうしてベロをひっこめるデス？　ねこ、サン！」