『あなたも猫カフェ』においでませ｜リアクション

『あなたも猫カフェ』においでませ

（ねこじゃらし、ひらひら～）
　美咲紀は、ふわふわのねこじゃらしを高く時持ち上げた。
　いるのはソファの後ろ、にゃんこには体が見えないところ。
「これでねこちゃん達と遊んじゃうのだ☆」
　ぴょいぴょい、と動く正体不明のねこじゃらしに、周囲の猫がピクリと耳を動かす。
「みゃっ」
「みあー」
　遊び好きの茶トラが来るかと思いきや。
　その子はこの部屋にはいない。
　瀬莉の足元いるのだ。

「にゃああ、みああ」
　茶トラは、小さな前足で、瀬莉の足を、たしたしたし。
「あああ、かわいい！　ねえ茶トラちゃんは、なにが好き？」
　瀬莉は猫用のおもちゃ箱の中から、ねこじゃらしを取り出した。
　それを右にふわっと動かせば、茶トラも右へ。
　左へひらっと動かせば、茶トラも左へ。
　ふわふわ、ひらひら。
「みゃみゃみゃみゃっ」
「すごい、猫パンチいっぱいだねっ」
　茶トラは好奇心旺盛、元気いっぱいに、瀬莉にじゃれてくる。
　ねこじゃらしに飽きたら、今度はスカートによじ登り。
　膝の上でごろんと丸くなって、撫ぜてとばかりの上目遣い。
「わかった、わかった。いいこいいこ」
　よしよしすると満足そうにお腹を見せて、また猫パンチだ。
「わっ、なんで？」
　手のひらに、小さな前足が、ぽすぽす当たる。
　毛がもふもふしていて、肉球がぷよぷよあったかい。
　でも五分後には、茶トラは飽きたはずのねこじゃらしを咥えて「にゃああ」
「今度はこれで遊ぶんだね」
　ひらり、とおもちゃを振り上げると、ぱくっ！
「わああ、食べちゃだめっ！　って離れないよ、どうしたの、茶トラちゃん！」

　同じくねこじゃらしを振っている美咲紀のもとに、ミケ猫と、牛柄猫がやってきた。
　二匹は、ねこじゃらしにぴょんぴょん飛びかかる。
（わああ、ねこちゃんが夢中に……）
　美咲紀はきらきらと目を輝かせた。
　その背中に、突然感じたのは、推定５キロほどの重み。
「うっ、誰か乗ってきたでしょ？」
　首を回して見やれば、そこにはぽっちゃりキジシロちゃんがいた。
　でも正面では、ミケ猫と牛柄猫が、ぴょんぴょん、ぴょーん。
「ふふふ、なかなかやりますね」
　背中の猫が落ちないように、左手で支えつつ、右手でねこじゃらしを振り続ける。
　そんなとき、ミケ猫と牛柄猫の背後を、すすっと通る白い猫。
「白猫さんっ！」

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