【ホワイトデー】煌燦-KiraKira-ホワイトアイランド｜リアクション

【ホワイトデー】煌燦-KiraKira-ホワイトアイランド

● エピローグ

　うっとりとクルト・エールヴァールの傍らに寄り添う嘉島和穂の首には、白のマフラーが巻かれている。
　白のドレスコードのことを知っていたクルトが、彼女のために用意してきたものだ。
　和穂はマフラーを口元まで引き上げ、頭一つ分高い、クルトの金の髪を見上げる。
（こうして二人でいられるだけで、歩いてるだけで、こんなにも幸せになれる。うう、傍にいられるだけで嬉しい……けど、だけどやっぱりもっと、）
　近くにいきたい。
　一方で怖くもある。
　今の穏やかな関係が崩れてしまったら、彼の傍にいられる時間が無くなったら……。
「今日は楽しんで貰えたか？　楽しんで貰えたなら、何よりだが」
　クルトが薄くほほ笑む。
「う、うん。とっても、楽しかった、です」
　声は途切れ途切れ、小さくなる。
　和穂はちいさく首を振って、自らを奮い立たせた。
（私、頑張るって決めた。……この恋を、叶えるために大切なこと。踏み込んで、踏み込んで、大好きで居続けること……）
　ステージも素敵だったし、このロマンチックな雰囲気の中なら言える気がする。

　和穂は立ち止まった。
　一拍遅れてクルトも立ち止まり、振り返る。
「和穂ちゃん？」
「私……クルトさんと一緒にいることが、とても嬉しくて……こうして一緒に時間を過ごすことは、凄く特別な時間、なんです」
「俺も、和穂ちゃんと過ごすのは有意義だと感じている」
　有意義。
　硬質な言葉がちょっぴり痛い。
　だけどくじけず、言葉を紡ぐ。
「あの、特別で、だから……また、何かあったら……な、なかったりしても、その、お、お誘いしてみたり、したいんですけど……」
　告白に至らなかったかもしれないが、今、精一杯の言葉に、クルトは笑みを返してくれた。
「もちろんだ。これからも、よろしくな」
　和穂の頬がバラ色に染まる。
　嬉しい。
　あまり伝わらなかったとしても言いたかったことを言えた。
　その言葉に、クルトが笑みを返してくれた。
　今はただ、そのことが嬉しい。
　もらったマフラーに顔を埋める。
　するとクルトは、そういえば、と鞄から包みを取り出した。
「肝心なのを忘れるところだった。ハッピーホワイトデー和穂ちゃん」
「わ……ありがとうございます」
　包みを開けると、小瓶に詰められた色とりどりの金平糖が出てきた。
　カラフルで、とてもかわいい。
　このプレゼントを彼はどんな顔で選んだんだろうと思うと、口元が思わず緩んでくる。
「……ハッピーホワイトデー、と言う文句は正しいのか？」
　と彼は生真面目な顔でブツブツ言った。
「まぁいい。お返しとして一般的かどうかはわからないが、受け取って貰えると嬉しいな」
「はい。嬉しいです。とっても！」

　――今日は素敵なホワイトデー。
　たくさんの恋が、友情が、花開き、末永く続きますように！

＜了＞

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あとがき

担当マスター：笈地行
ファンレターはマスターページから！

ご参加ありがとうございました！
ホワイトデーの一端を担わせていただきました、笈地です。
「キラキラ」というタイトル通り、
甘いアクションや、切ないアクションや、楽しいアクションなど
キラキラアクションをたくさんいただき、
わたしもあま～い気持ちや切ない気持ちや楽しい気持ちになりながら書かせていただきました。

カップルさん、お幸せに！
告白した皆さん、がんばれ！
告白しなかったみなさんも、がんばれ！

それではまたご縁がありましたら……笈地でした。

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