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背中の翼を大きく広げて
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■青き翼と月光の
キッと年季の入った音をたてる自転車のブレーキ。
おりて鍵をかけ、前後のカゴにのせたビニール袋をとりあげる。
靴底が小石にすれる音と、袋の中身がしゃわしゃわと転がる音。
皺のない綺麗なワイシャツにズボンをはいた、長い黒髪。髪型を抜きにしても女性と見まがうほどの美しさが、月光によって浮き彫りになっていた。
彼の名は
深縹 露草
。
寝子島旧市街のアパートに暮らす『ごくふつう』のフリーターである……などと言えば、皮肉になってしまうのだろうか。
慣れた手つきで鍵を取り出し、お世辞にも立て付けがよいとは言えないドアを開ける。
靴を脱いで玄関にあがったその途端、背中に違和感を覚えた。
「……あ、これは」
知っている感覚だ。
「あの時、私を助けてくださった翼デースね」
懐かしそうに、そして優しく振り返る露草。
と同時に、ワイシャツが大きく引っ張られ、ボタンがひとつふたつはじけ飛び、余裕のあった背の生地が派手に破れるさまを確認した。
「できれば、ワイシャツを脱いでから出てきて頂きたかったデース」
露草は苦笑して、ビニール袋を床に置いた。
翼がはえたからとて、特別にやることはなかった。
どうしても翼が生えねばならぬ危機も、天からのお告げもない。
言ってみれば、自由がそこにあった。
……なんて言ってみても、最初にやったことは破れたワイシャツを捨てることと、かえの服を着ることと、かってきた食料品を冷蔵庫にしまうことだったりしたのだが。
「さて。折角デースから、お空の散歩でもしてみマースか……」
膝をぽんと打ち、家を出る。
いつもなら駐輪場に直行するところを、徒歩のまま道へ出た。
飛び方はなんとなく知っている。
まずは走るのだ。風を感じられるほどに。
そして畳んでいた翼を広げ、風を受け止める。抵抗と浮遊感で踵が離れる感覚が生まれれば、あとは翼を羽ばたかせればよい。
一気に身体が宙に浮き上がり、空へと斜めに突き進んでいくことだろう。
見知った近所の道はすぐに見慣れぬ俯瞰風景となり、見目麗しい寝子島の町はすぐさま遠ざかった。
広がるは見慣れぬ空と広大な海。遠く離れた本土の街明かり。電飾された大きな橋。
そしてまばらに光のともされた、寝子島の風景だ。
けれど露草がなにより心奪われたのは、それまでよりほんの少し近くなった月だった。
「今なら、飛べば届くのでしょうか」
月の距離を知らぬ彼では勿論ないが、なんだかとても幻想的な気持ちになって、露草は空へ空へ月へ月へと高度を上げた。
イカロスは蝋で固めた翼で空を飛んだが、太陽に近づいたあまり蝋を溶かして墜落してしまったという話がある。
自由への渇望と努力、そして傲慢。総じて業のお話だといわれるが……。
「月を目指しても、墜落まではせずにすみマーシた」
ふふふと笑って、露草は自宅の屋根の縁に腰掛けていた。
雲を抜けるほどの高さに達した頃、圧倒的に大きな飛行機がすぐ近くを通過するさまに驚いて引き返したのだった。
空も思ったほど自由な場所ではないらしい。こんな空では、イカロスも太陽を目指すまいて。
「それにしても、あんな高さになるまで我に返ることがないとは……月と翼の魅力……いえ、魔力でしょうか」
一時限りの翼をもち、空を舞い、月にすこしだけ魅入られた。
それだけで、露草には充分だ。
「今日はもう、お風呂にはいって眠りマース」
明日もまだ翼があったなら、明るい空を飛んでもいい。
こんどは飛行機の邪魔にならないように。
■空色の境界
小鳥のさえずりに伴って、スクーターのエンジン音がする。
レースカーテンの隙間から入る音とすこし冷たい陽光に、
スピカ・フォーツ
はゆっくりと身体を起こした。
身体にかけた布団がさらさらと落ちてゆく。
目をこすり、違和感。
部屋にぱらぱらと散らばるプリズムに、スピカは首を傾げた。
窓辺にクリスタルをぶらさげておくことで朝日を反射させて部屋をこんなふうにしてくれる雑貨があったものだが……。
そんなものを飾ったろうか。
振り返り、そして気づく。
クリスタルは、自分の背中からはえていたことに。
翼があればいいのに。
そんな風に考えたことが、きっと誰にでもあるだろう。
大空を見上げるときにこそ、スピカは翼を想った。
ゆえに、自らに翼がはえたのであれば、やるべきことなど一つしか無かった。最初から、ずっと昔から、決まっていたと言ってもいい。
「…………」
風が顔を撫で、髪を撫でてゆく。
目を瞑り鼻からゆっくりと息を吸い、胸一杯にして手を広げた。
気持ちそのものが膨らむように、背の翼が広がる。銀色透明なクリスタルが、陽光を散らして七色のプリズムに変えた。
「飛べる」
直感だった。
すこしだけ身体をかがめ、地を蹴る。奇妙な推進力によってまるで引っ張られるように空へと垂直に飛び上がっていく。
寝子島を、それまで立っていた大地を、すぐに見下ろすほどの高度にまで至っていた。
誰も自分のことなど見ていない。見えていない。
きらきらと陽光をまげて光る翼も、翼にあわせて用意した神話の挿絵にあるような服装も。
すべてすべて、自分だけのものだった。
空にゆらゆらと波線が描かれていく。
銀色の粒子が尾を引いて、スピカの軌跡を残すのだ。
まるで煙をひく飛行機のようだと思って、頭の中にある飛行機のイメージをひもとき、広げてみる。
地上に背を向け、空に顔を向けて飛んでみれば、雲と青空しか目に入らない。
この雲を突き抜け、青空と呼べる場所すら突き抜けたなら、きっと深い深い宇宙の闇にすら触れられるかもしれない。
「空は、地上の上澄みって言うけど……」
瞑目。
一度だけ飛行を中止して、自由落下に身を任せた。
折角の空と翼だ。
遊んでみよう。
インメルマンターンという飛行機の機動方法がある。
特に空中戦闘機動と呼ばれ、すれ違う敵機を即座に追いかける際に用いられる動きだ。
技術開発者であるところのドイツ軍人の名前がついていて、当時のエンジンでは満足にこなすには速度不足であったとされているが、スピカの重量と現在の飛行速度があれば充分にターンをかけることができた。
そこから発展したスプリットSだってできる。
「自分の身体で、戦闘機動をかけるのが……こんなに、楽しいなんて」
もっと飛ぼう。バレルロールにクルビット。テレビゲームの中でしかおこせなかった動きを、自分の身体で体感するのだ。
スピカはお腹がすいて息切れするまでの間ずっと、空を豪快に飛び回った。
銀の軌跡をひきながら。
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3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年07月09日
参加申し込みの期限
2017年07月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年07月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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