春を探して｜リアクション

春を探して

　３０分はあっという間だった。
「ふぅ、食った食った」
　流は満足していた。
「えへへ、楽しかった―。みんなでするいちご狩りは格別ってやつだね……！」
　結が微笑む。
「千堂、今日は楽しめたか？　今度は他のダチも誘ってもっと大勢で遊びにこようぜ」
「うん、すっごく楽しめた。水守くん、本居さん、ありがとう！　今度は他の友達も誘って……また来たいねっ。本居さんとも、またこうして一緒に過ごせたらいいな……！」
　その言葉に、陽毬もにっこりする。
「私も沢山食べたよ！　楽しかったー。また来ようよ、結ちゃん！」
「本居は聞かんでも存分に食ったであろうことは把握ずみだ！　こういった食い放題系見つけたらまた声かけるから安心しとけ」
　そこでやめておけばいいのに、つい口を滑らせる流。
「あと千堂見習って女子力アップもがんば……げふんげふん」
　あ、怒られるかな、と思ったが。
　陽毬がちょっとあっけにとられ、結のほうを見る。
「……女子力？　うん、結ちゃんはすごく女子力高そうだよね」
（ちょっと悔しいけど、結ちゃん相手じゃ張り合う気にもなれないよ）　
「じょ、女子力？　私……女子力？　あるの……？」
　考え込む結。
「あるある！　私は……やっぱり女子力より食欲かな！」
　陽毬が笑った。
「あ、ジャム売ってる。あれでパン食べたらおいしそう」
　じゅる、とよだれを飲み込む陽毬。
「よし、買っていこう」
　流も言う。
「ジャムもいいね」
　結はちょっと考えるが。
「今日は、どこかでいちごを買ってからお家に帰ろうかな。久しぶりにいちごデザート作りたくなってきたっ」
（やっぱり女子力高い）
　と流と陽毬は、同じことを思うのだった。

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