春を探して｜リアクション

春を探して

○いちご祭り！

　水守流は、たまたま手に入ったチラシを見ながら考えていた。
「苺狩りか、本居は呼ばないとうるさいから呼ぶとして」
　食べ物関連の食い友と、そして料理が得意そうな友人の女の子が思い浮かぶ。
「千堂にゃこの前世話になったし呼んでみるか」
　先日は喫茶店で結と一緒においしいコーヒーの淹れ方を習った。
　二人に、連れがいることを説明して声をかけることにする。
　
　そして当日。
　流に声を掛けられた本居陽毬と千堂結が待ち合わせ場所にやってきた。
　二人は初対面である。
（水守君のお友達も一緒なんだよね。この子見た事あるよ……隣のクラスの子だ！）
　セミロングの髪、黄色い瞳の少女を見て陽毬はそわそわする。
（うわぁ、仲良くなりたいなぁ）
　そこへ、寝ぐせのついた髪、眠そうな目の流がのんびりやってきた。
「水守くん、誘ってくれてありがとう！　いちご狩りってやった事なかったんだあ、楽しみー…！」
　結が言った。
「食べ放題って素敵な言葉だよね……☆」
　ウェーブのかかった髪で猫目の陽毬は、うっとりと言う。
「本居、さん……でいいかな。初めまして、だよね？　千堂結です。よろしくお願いしますっ」
　結が礼儀正しく挨拶した。
「あ、本居陽毬です。千堂さん、よろしく～」
　明るく返事を返す陽毬に、結も思っていた。
（凄くかわいくて素敵な人……！　仲良くなれたらいいなあ……）
　そんな二人の交流を眺めながら、さっそく苺狩りへ向かう流。
「まさかこの島で苺狩りやってる場所があったなんてな。千堂、本居、いっぱい食ってこうぜー」
　ハウスに入る前の待ち時間に、陽毬が言った。
「さて苺狩りの時間が始まるわけですが……2人に言っておくことがあります！」
「なんだよ」
「？」
　首を傾げる結たちに陽毬は言い放った。
「苺狩りは！！　戦争です！！！」
「えっ」
「おいおい」
　ツッコミを入れつつ、陽毬らしいと思う流。
「だって持って帰れないから！　だからこの30分の間に、どれだけ苺を満喫できるかにかかってるよ！」
「は、はい……」
「お、おう……買って帰れないんだな、わかった」
　燃える陽毬に、流も結も頷いた。

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