推理ゲーム『ねこじま人狼』3rd｜リアクション

推理ゲーム『ねこじま人狼』3rd

●　裁判

　１日目の裁判では騎士を吊っていこうという流れの中で志波武道が処刑された。しかしその夜に占い師を名乗っていた水守流が犠牲となり、また流れが変わる。その結果、最終的に嵐の中心となったのは、初めから狂人であるとカミングアウトしていた八重崎五郎八である。だれが人狼であるとしても、ふたりの人狼のうちの一人は五郎八なのではないか……今現在は、そんな空気が場を支配していた。

「それでは、彼の者こそ人狼、と思う人物をそれぞれ指差してください」
　ゲームマスターのエムアの指示で、議論を尽くした８名のプレイヤーは一斉にこれぞと思う人物を指差す。
　卯木衛は、八重崎五郎八を。
　新江天懸は、八重崎五郎八を。
　来島アカリは、八重崎五郎八を。
　屋敷野梢は、八重崎五郎八を。
　サキリ・デイジーカッターは八重崎五郎八を。
　トワ・E・ライトフェロゥは八重崎五郎八を。
　楢木春彦は八重崎五郎八を。
　そして、八重崎五郎八は、屋敷野梢を。

「……いやまあ正直私の票意味ある？　ってレベルなんだけど」と五郎八は嗤う。「折角だから最後まで私吊り安定説に首を捻ってる様子の梢ちゃんで、生徒会繋がりの誼（よしみ）も込めて？」
　初日に吊られた武道は生徒会長、梢が副会長、五郎八が書記である。
　エムアはクールに宣言する。
「八重崎五郎八さん７票。屋敷野梢さん１票。……結果、処刑されるのは八重崎五郎八さんです」

　処刑者の発表を聞く間も、サキリは深く椅子に掛け、ゆるりと紅茶を嗜みながら余裕の表情。
「何とも意外な幕引きだったかな。後は卯木＆来島のＷ占い師騙りという大逆転劇があるかどうか楽しみだね。流石にこれで負けたらぐうの音も出ない。勝ちを拾わせて貰った感もあるかな」
　一方、アカリはぽつりと呟く。
「この吊りで負けるはずがねーんだけどな……？」
　それから、すまし顔で人差し指をこめかみに当てている衛を横目で見遣り。
「卯木にこんな戦法取ってくるイメージがなかったから気になんだよなぁ……むー……勝ってるはずなのに、なんでこんなに不安なんだろ……謎だな……？」

　エムアは指で拳銃のような形を作り、五郎八に向ける。
「それでは、五郎八さん……――さようなら」
　パーン、と言って引き金が引かれる。