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開放的な一日
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桜花寮のベッドで
水守 流
が不貞腐れたような顔で寝転がっていた。徐に足を組んだ。苛立たしげに前後に振る。振れ幅が限界を迎えて、いきなり上半身を起こした。
「することがねぇ」
ボサボサの髪を掻いた。目に付いた黒いオーバーオールを羽織る。何とはなしに両手をポケットに突っ込んだ。
片方からクシャッと乾いた音がした。掴み出すと丸まった紙であった。広げて見ると焼肉屋のチラシで半額のクーポン券が付いていた。脇には小さな文字で使用期限が書かれていた。
「今日までじゃねぇか」
流は慌てた。机の中の財布に縋り付く。中を開いて少し渋い顔付きとなった。
――一人なら問題ない。本居には黙っていよう。口が滑ればハゲワシのように食い荒らされる。
間違いなく俺の財布が即死する。今月は買いたい物もあるし、ある程度は節約しねぇとな。
人目を気にしながら桜花寮を出た。脇道を選んで進み、最後の直線を迎えた。
流は蕩けるような表情で頻りに口を動かす。頭で作り上げた肉の味を堪能しているかのようだった。ゆったりとした歩みの中、急に目を丸くした。
斜向かいの電信柱に駆け込む。驚愕の表情で向かう先に、そっと目を向けた。
ふわふわとした白いコートに身を包んだ
本居 陽毬
の姿があった。徐々に距離を縮めてくる。怪しげな歌に流の身体が猛烈に震えた。
「お腹すいたなー。ちょーすいたー。
そんな時、どうするー、どうなるー。
心の声に耳を澄まして聞いてみようー。
すごく肉が食べたい!
心のままに肉が食べたい!
胃袋がはち切れてもいいから、
極上の肉をたらふく食べたいんだよー。
でもでもー、財布の中身はすっからかーん。
だから私の胃袋も空っぽなのさー、シクシク」
欲望に塗れた歌詞で思いを吐露する。演歌歌手のように拳を固めた。
流は電信柱に隠れた。可能な限り、身を縮めた。祈るように瞼を閉じて遣り過ごそうと努める。
邪悪な歌声は真横から聞こえた。流の全身が一気に硬直する。ゆっくりと過ぎ去り、至福の表情を浮かべる。
「そんなところに水守君! やっほー、お腹すいたね(独自の挨拶)!」
見つかってしまった。その思いを呑み込んで流はぎこちない笑顔で振り返る。
「お、おう、本居か。こんなところで会うなんて奇遇だな」
「もー、肉を頬張りたいのに今日も金欠だよー、もーもー」
陽毬は人差し指を角に見立てて牛の鳴き真似をした。流は目を合わさないようにして、は、ははは、と乾いた笑い声に終始した。
「なんで電信柱に張り付いてたの? めっちゃ、挙動不審だね!」
「そ、そんなことはないだろ。うん、ないない。気のせいだって」
「どこに行こうとしてた?」
「どこって、半額クーポンが今日までだから……はあぁぁ!?」
自分の言葉が信じられない。両手で口を覆ったが遅かった。陽毬が流の両肩を掴んできた。
「え、半額クーポンって? それ、肉だよね、絶対そうだよね!」
「は、はい、もーもーさんのお肉です」
「もしかして、もしかしなくても一人で行くつもりだったよね。そんな素敵で涎が出っ放しになる話を黙ってるなんて酷いよー。私達、食い友なのにぃぃ!」
猛り狂う牝牛の突進に流は翻弄された。両肩を掴まれたまま、激しく揺さぶられた。
「こんな酷いことしたら、お詫び(?)をしないとね!」
「……俺の奢りで焼き肉が食べたいと、そういうことなんだよな」
「そう、その通り! 水守君の奢りで焼肉よねー」
捕獲したとばかりに流の腕を抱え込む。極上のロースの感触に、ほわっ、と奇妙な声が漏れた。
「さー、今日は焼肉で幸せを独り占めだよ~。肉を重ねて、重ねまくって、一口にするよ~♪」
陽毬は来た道を引き返す。流は逆らう気力もなく引きずられるように歩いた。店舗の前にきて、ここ、と虚ろな目で指差した。
「ここかー。楽しみだなー」
二人は店舗の中に入っていった。
流と陽毬は向かい合うように座った。運ばれてきた皿にはカルビやロースが敷き詰められていた。
流は手際よく肉を網に並べる。火加減を気にして適宜、肉を裏返す。陽毬は漂ってくる肉の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。のんびりとした雰囲気を醸し出す。
流の眼付きが鋭くなった。
――奢るのは仕方ないとして、この俺が肉を食い尽くしてやる。圧倒的な食欲を見せ付けて本居を圧倒してやるぜ!
丁寧な焼き加減で肉を仕上げていく。出来上がった瞬間、伸びてきた箸が全ての肉を纏めて掻っ攫った。
「おおおい、ちょっと」
「いただきまーす♪」
陽毬は全ての肉をタレに浸して一口で頬張る。満面の笑顔で咀嚼して飲み込んだ。
「ここの肉、とっても美味しいよ」
「俺は食ってねぇよ」
「遠慮しないで食べればいいのに」
その言葉を聞いて流はプルプルした。心なしか目が潤んでいる。仕方ないなー、と陽毬は自らの箸で肉を網に並べた。横を通り過ぎようとした店員には笑顔で挙手する。
「特上ロースを五人前、追加でお願いしまーす」
冷静になろうとして飲んだ水を流は噴き出した。直後に激しく咳き込む。
「もう少し力を抜いて食べようよ。ヒッヒッフーだよ」
「そんなことしても何も産まれねぇから」
テーブルの下で財布の中の紙幣を数える。
――半額だから、まだ何とかなる。とにかく今は無心で肉を食うしかない!
煮え滾る目を網に向けると、そこには何もなかった。まるで白旗を振るように白くて細い煙が揺れていた。
呆然とした目を上げる。幸せそうな顔をした陽毬がいた。艶やかな唇を窄めて肉の感触を楽しんでいるようだった。
「……網の上の肉は全部、本居が食べたのか?」
「水守君は食べるのが遅いんだよ。焦がし過ぎたら美味しくないから、私が頑張って食べるね!」
「遅いも何も、一口も肉を食べてないんだけど。それに食べ過ぎは太るんじゃないかな」
「ん、太るって? 誰が?」
わざとらしく耳を傾けて聞いてくる。流は店員の手によって運ばれてきた特上ロースを受け取ると、怒りを鎮める供え物のように陽毬に両手で差し出した。
「まだまだ肉は食べるけど、レディーに失礼な態度を取ったから、食後のデザートも付けてくれるよね」
「ま、まさか、それも」
「もちろん、水守君の奢りだよね」
小悪魔を通り越した魔王的な笑顔で迫ってきた。
その日、流の財布は帰らぬ物となった。
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あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
開放的な気分にさせる一日、あなたは満喫できたでしょうか。
もちろん、個人差はあります。全く影響を受けないPCさんもいました。
胸に秘めていた思いを相手に伝えようと決めたPCさんの今後が気になります。
秘密が露見して気分的にすっきりしたPCさんは布教活動(?)に乗り出したようです。
散財したPCさんは、またの機会に心ゆくまで胃袋を満たしてください。
個性が色濃く反映されたシナリオになりました。
執筆の合間に寒い日もあって、無性にすき焼きが食べたくなりました。
牛もいいですが豚でもいけますよね、すき焼きは。
話が脱線しそうなので、そろそろ終わりたいと思います。
参加していただいた皆さん、ありがとうございました。
また、次のシナリオで会えることを楽しみにしています。
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担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
6人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年11月28日
参加申し込みの期限
2016年12月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年12月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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