ご奉仕あそばせっ！メイド様！｜リアクション

ご奉仕あそばせっ！メイド様！

☆一日メイド体験！

　小学４年生の男子、双葉由貴も町を歩いていてチラシを受け取った。
「へぇ。可愛いカフェ。俺には不釣り合いだけど……って！？！？」
　次の瞬間、世界は一変していた。
「ななななななななななななな、なんでメイド姿に！？」
　由貴はチラシにあったメイド服に身を包んでいたのだ。

「す、スカート！？　なんでピンク……しかも可愛い服じゃん」
　短いのにふわっと広がるスカートは、とても可愛らしいがなにやら見えそうで。
「うわあああああああ！」
　由貴は真っ赤になってスカートを抑えて座り込んだ。
「な、なんでこんな格好」
　由貴は恥ずかしくて半泣きだ。
「これは可愛いメイドくんだな。よし、さっそくメイドさんの仕事をしてもらおう」
　顔を出した店長らしきおじさんが言う。
「制服着てたからメイドって、俺の歳でやっていいのかよ！」
「一日体験は１０歳からＯＫだ。ああ、時子くん一日体験の子に教えてあげてくれ」
　店長はなぜか嬉しそうだ。
「あああああ」
　頭を抱えた由貴に、メイドさんの制服に着替えた桜が声をかけた。
「あなたも一日体験？　私もなの、よろしくね」
　自分の名前が「桜」なので、この服を着ているとなんだか桜の花の精になったような気がして、桜は浮き浮きしていた。
　桜の花の精なら、かわいい男の子がなったって全然構わないではないか。
「いや、俺は……」
　好きで着てるわけじゃない、と言いたい由貴。
　しかし気が付けば店内は満員で、メイドさんたちはみんな忙しそうだ。
（みんなが真面目にやってる中、俺だけやらないわけにはいかない！　俺は男なんだ！）
「こうなったらちゃんとやってやる！　似合わないけど、笑うなよ！」
「すごく似合ってると思うけど」　
　桜は心からそう言った。

「接客は初めてですか？　大丈夫、リラックスして笑顔を心がけてください」
　『ときこ』と名札をつけた、黒髪の綺麗なお姉さんが優しくいろいろ接客の仕方を教えてくれた。
　桜はメイドカフェなんて中へ入るのだって今回が初めてで、色々と見たり触れたり聞いたりしたい好奇心がうずく。
　けれど皆忙しそうだし、そこはもうおさえてメイドの仕事に集中することにした。
「それじゃ、お客さまをお出迎えしましょう」　
　由貴も覚悟を決める。
「い、いらっしゃいませー！！　ご、ごしゅじんさまっ」　
　声は出せたものの、顔が真っ赤だ。
　桜のほうも少しぎこちない。
「オーダーを取りに行きますよ」
　時子お姉さんに言われ、同行することになる。
　
　