ご奉仕あそばせっ！メイド様！｜リアクション

ご奉仕あそばせっ！メイド様！

☆桜ぱふぇと緑茶

（なるほど、あんなふうに接客すればいいのだな）
　接客経験のない月は、時子や和穂のやっていることを見て参考にすることにした。
　それに、接客はしたことがなくても星ヶ丘寮でメイドは雇っている。
（私のメイドであり恋人でもある彼女が私にやってくれている事を思いだしながら働こう）

　

「メイド喫茶ー！？」
　チラシを受け取ったマリベル・ロイスが声を上げた。
（【cat nap】かあ……ウチもメイド喫茶の名前くらいは聞いたことあるなあ。お嬢様って呼ばれたら嬉しいな！）
「今でも人気なんやろかなあ？」
　お店をちらっとのぞいて見たマリベルは、可愛らしいメイド服に釘付けになった。
「奇麗な桜色の服を着たメイドさんや……！」
　自分がアニメやテレビで見たり海外の友達に紹介したことのあるメイドさんとは配色が全く違う。
「和風なメイドさんや！　うわー！　かわええー！　日本にはまだまだ素敵なMOE文化が残っていたんやな！」
　大興奮のマリベルは一日体験にも惹かれたが、これは自分が着るよりも観光として楽しんだほうがいい、と判断した。
「あのー！女１人なんですけど席あいてますかー！」」
　店に入っていったマリベルを出迎えたのは、
「お帰りなさいませ……あっ、マリベルちゃんだ！」
　クラスメートの凛だった。
「雨寺ちゃん、メイドさんだったんか？　可愛いわ～、でもそこはお嬢様って呼んで欲しいわあ」
「あっ、そうでした、お嬢様」
　凛は素に戻りたいのを抑えて真面目に接客する。
「何をお召し上がりになりますか？　おすすめは期間限定のチェリーオムライスと桜ぱふぇですよー♪」
　開いたメニューの写真の、桜色のクリームで彩られたパフェにマリベルの目は吸い寄せられる。
「そやなあ、桜ぱふぇがええかもなあ。ここはいっそのこと緑茶があれば緑茶とセットで和風kawaiiを再現や！」　
「かしこまりましたー。桜ぱふぇと緑茶ですね」
　元気に返事をすると、凛は厨房に注文を伝えた。

「これは綺麗だな」
　緑茶とセットの桜ぱふぇの魅力に気づいたのは月も同じだった。
（これはこの制服とも上手くマッチしているな、私なら……）
　月は、頭の中のメモ帳にデザインを描きとめながらセットを運んでいった。
（このぱふぇも相手に美味しく食べて欲しいって作られてるんだろう、なら私も美味しく食べてもらえるように頑張らないと）

（うわあ、アニメの世界から抜け出してきたようなかわいいメイドさんや）
　ぱふぇの写真を撮ろうとスマフォを取り出していたマリベルは気づく。
「そういや記念撮影できるんやな？　あの、一緒に写真に写ってもらってもええかな？」
「かしこまりました、お嬢様」
　貴重な体験だな、と思う月である。
　凛がやってきてカメラを構える。
「はい、お嬢様こちらを向いて……チーズ☆」
「あ、うちもスマフォで写真とって、ニャンスタグニャムに挙げて紹介するで。あ、でもプライバシーに配慮して目は見えないようにしとくな」
　スマフォで月とのツーショットを自撮りした後は桜ぱふぇと緑茶を撮影して。
　マリベルはゆっくりと桜色のクリームと若草色の緑茶を堪能した。
「よし、次はじゃんけんゲームや！」
「よろこんで♪　お嬢様が買ったら割引券を差し上げます。負けても残念券がありますよ～」
　やってきた凛も楽しそうだ。
「「最初はグー、じゃんけんぽん♪」」　
　じゃんけんゲームはにぎやかに盛り上がった。