ご奉仕あそばせっ！メイド様！｜リアクション

ご奉仕あそばせっ！メイド様！

☆突然メイドさん！

「へぇ、メイドカフェが新しくできるんだ……メイドカフェって行ったこと無いなー」
　明るく人懐っこい雨寺凛は、ほんのちょっと前にチラシを受け取り、そうつぶやいていた。

　……はずだったが。
「あれっ、ここは……カフェの中？」
　周囲の光景に驚いた凛は、自分の服に目を落として二度ビックリする。
「わっ、いつの間にかメイドさんの格好になってる！　でもこのメイド服すっごくかわいいね！」
　袖の広がった桜色のブラウスに、膝上丈の桜の葉色のスカート。スカートには桜の花の模様があしらわれていた。
　定番のメイドさんの白いエプロンに白い帽子が映える。
　足以外は一見露出度は低いが、襟の下に胸元が桜の花びらの形に開いていてセクシーだ。
　ちょうど目の前にあった鏡に全身を写して、凛はその可愛らしさにうっとりした。
　そして周りを見れば、他にも戸惑っている様子のメイドさんたちが。
　その中には知人の御巫時子の姿もあった。
「凛さん……こんにちは」
　桜メイド姿でおっとりと微笑む姿は初々しく可憐だ。
「時子ちゃんも来てたんだ！　すっごく似合ってるよ！　かわいい！　きゃー！」
「ふふ、凛さんこそ似合っててかわいいですよ……華やかで可愛らしく着てるだけで嬉しくなりますね。一足早く春が訪れたような気持ちです」
　時子は鏡の前でくるりと回ってみて、自分の姿を確認して満足そうだ。
「せっかくだしメイドさん体験、楽しんじゃおうかな！」
　と明るく言う凛に。
「メイドカフェでバイトするのは初めてです……」
　時子も嬉しそうに微笑むのだった。

「あれ？　何だろう？　私は散歩をしていた筈なんだけど……」
　桜月もいつの間にかメイド服を着て店内にいた。
「これ、さっきのチラシの服だな……まあいいか」
（この服には興味あるし、デザインの参考にしよう）
　桜の花模様や袖や襟の縫い目に見える線は和風だが、帽子やエプロン、袖の形は洋風だ。
　襟と帽子のひらひらした感じはお揃いのデザインのようだ。
　厚底のサンダルのリボンもまた可愛らしい。
　

　開店前にメイドカフェでの接客のレクチャーを受け、いよいよお店が開く。
「いらっしゃいま……じゃなかった、おかえりなさいませ、ご主人様ー！」
　カラオケBOXでバイトしている凛は接客には慣れているが、つい習慣で「いらっしゃいませ」が出てしまう。
　でも失敗にめげず、いつものように元気で明るく振る舞い、ニコニコ笑顔でお出迎えする。
「お帰りなさいませ、ご主人様。お嬢様」
　時子は優しく微笑んでお出迎えし、
「ご主人様が帰られましたよ」　
　と、鈴を鳴らして他のメイドさん達に知らせた。

「こちらのお席へどうぞ」
　普通のカフェでのバイト経験がある時子は、席の案内や料理を運んだりをそつなくこなす。
　おっとりふわっとしているけれど、桜の花びらから覗く大きな胸の谷間はセクシーで、客は目のやり場に困ったり目が離せなくなったり。
「お待たせしました、チェリーオムライスです。お絵かきのリクエストはありますか？」
　お任せで、と答えたお客さんに、時子はハートっぽい桜の花びらを描く。
「いいねえ、桜のハートだね」
　おっとりした優しい微笑みに、いつしかご主人様は癒されて笑顔になるのだった。
「え、記念撮影ですか？」
　初めてのことに少し緊張してしまう時子だが、頑張って笑顔を作る。
　あちこちで声をかけられているうちに、だんだん慣れて自然な笑顔で写れるようになってきた。

　

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