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●邂逅
鬱蒼とした草藪の中で、
日暮 ねむる
はうっすらと目を開けた。
(あれ……なんでぼく、こんなところで寝てるんだろう)
この状況が、己自身でよく分からない。あんまり眠くてまた適当に寝てしまったんだろうかと思いながらねむるは体を動かそうとしたが、まるで夢の中のようにまるきり力が入らなかった。
(夢、なのかな……?)
ぼんやりした頭で薄暗くなってきた空を仰ぐ。と、胸に重みと温かさを感じ、首を少しだけ動かしそちらを見た。
白い猫
の瞳が、じっとねむるを見つめていた。ねむるはその猫に向かって呼びかけた。
「めざましくん……」
少しずつ、ねむるは思い出してきた。
ねむるは九夜山に散歩に出ていた。いつの間にか一緒にいる猫のめざましと共に。そしてめざましが少し高い木に登ってしまい、降りられなくなった時、ねむるは彼を助けようと木に登りかけ……足をかけた枝が折れてしまった。
(まさか、下に地面がないとは思わなかった)
伸び放題の下草でねむるは気が付かなかったが、その木は低い崖の端に生えていたのだ。木から落ちたねむるはそのまま数メートル落下してしまい、意識を失ったのだった。
ニャーン……とか細い声が聞こえる。ねむるの胸元をしきりに前足でさする不安げなめざましに向かい、目を細めた。
(そんな顔、しないでよ。いつもやんちゃな君らしくないじゃないか。めざましくん)
しかし、もう声も出なかった。何だか凄く眠いのだ。目を開けているだけの行為がひどくだるく感じられた。
(ごめんよ、めざましくん、僕は大丈夫だから。少し……だけ休んだ……ら……)
すうっとねむるの意識が再び暗闇に飲み込まれていった。
アダム・スメルディン
が人目を避けるような生活を送っていなかったら、ねむるはそのまま草藪に埋もれていたかもしれない。山道でない場所に人の気配を感じたアダムが、注意深く草藪に入り周囲を調べ歩いている時、倒れているねむるを発見したのだった。相変わらずぼろぼろの革ジャケットを羽織りながら、アダムは感情の読み取りにくい瞳で、じっと昏倒しているねむるを見つめた。
(この顔には見覚えがある)
アダムは素早く記憶を辿る。そして頭の中からすぐにある場面のカードを取り出した。
(あの少年か……)
名も無き英雄の一員であり、奇しくも
あの事件の日
に自分を回復した少年。アダムは静かにねむるの横にしゃがむと、ねむるの体を調べだした。
(脈も正常、呼吸も安定)
いくつかの外傷と打撲、手首の捻挫はあるが、命に別状はないようだ。
アダムはすっくと立ち上がると、冷たい視線でねむるを見下ろした。
(この状況なら、倒すには容易い)
運命の輪とは皮肉なものだ。見つけたのが俺でなかったらこの少年は助かっただろう。しかし、俺でなかったら、こんな人も来ない草藪で彼を見つけられはしなかった。
思いもかけない好機にアダムはすっとねむるに指を向け、アラビア語で小さく呟いた。
『名も無き戦士の魂よ、安らかに還れ』
そしてろっこん<ÆDUST>をまさにその指先から発動しようとした時、ねむるの傍らで小さく動く影に気が付いた。
(猫、か……?)
それは、白い猫だった。ねむるを心配するように彼の胸元に前足を載せ、離れようとしない。
アダムはねむるの傍に落ちている大ぶりの枝に目をやった。彼が上の木から落ちたであろう事はその折れたような根元から推察していたが、そうか、この猫を助けようとしていたのか……。
ふいに猫がアダムの方を向いた。その大きな瞳でじっと彼を見つめてくる。1人と1匹はしばらく見つめ合っていたが、ふっとアダムがねむるに向けていた指を下げた。
アダムは再びねむるの横に屈み込むと、彼を両手で担ぎ上げ、立ち上がった。
そのままアダムは意識のないねむるを、使われていない山小屋へと運び入れた。そして彼を床に下ろすと、小屋の裏手に回り、薪を一抱え持って戻ってくる。それを無造作に暖炉に積み上げ、アダムはろっこんを指先から発動した。見えない炎が薪に灯り、めらめらと薪に火が点いた。
こうして小屋を暖めると、アダムは薬箱を持ってねむるの傍らに座った。ねむるの身体を丹念に調べ、落下した時に出来た傷を薬箱から出したエタノールで消毒し、酷い箇所は糸と針で丁寧に縫合する。そしてねむるの手首をそっと持ち上げ、捻挫の部分を確認すると、軟膏を浸した湿布で包んでやった。
手際よく三角巾でねむるの腕を首から提げさせ、処置を完了させたアダムが顔を上げると、小屋の隅にいた白い猫と目が合った。
あの猫が小屋に入って来て、じっと自分の行動を見つめていた事には気付いていた。そして猫はしばらくアダムを見ていたが、そっと起き上がると静かにねむるの傍らに来て、丸くなった。
(俺が彼に危害を加えないと認識したのだろうな)
獣は鋭い。きっとアダム以上にアダムの思っている事が分かっているのかもしれない。その警戒心を解いた姿をアダムは見つめていた。
彼自身、不思議だった。どうしてこの少年を助けてしまったのか。アダムは自分の指先に目をやった。……俺は彼に火を点ける代わりに、暖炉に火を点けたのだ。
アダムはねむるの手に視線を移した。彼の手には人を眠らせる力が宿っている。自分とは違い、人を安らかに休ませる力が。
(人を助ける事が出来る手か……)
アダムは静かに目を閉じた。在りし日の、自分。頼もしかった、あの手。アダムは再び目を開けると、ねむるの穏やかな顔を見ながら、訛りの強い英語で呟いた。
「Yu r Gifts, SpEcial So Much」(お前の能力、実に尊いものだ)
お前の手は、尊い。俺の手ではできない事が沢山できる。父や祖父らがしてきた事。俺も、そうなるべきだった……。
アダムはじっと己の手を見つめた。この手に宿りし力も、この手で行ってきた事も、もう消えはしない。アダムが手のひらを握り締めた時、傍らでねむるの気配が動いた。
「う……ん……」
猫がピンと耳を立て、首を伸ばす。アダムは静かに立ち上がった。
まず最初に気付いたのは、胸と頬の温かさだった。
目を開けると、めざましの大きな瞳が飛び込んできた。ねむると目が合っためざましはにゃあと一声鳴くと、またぺろぺろとねむるの頬を舐め始めた。
「ほんと、君はめざましくんだなぁ。あはは……」
ねむるは顔を擦りつけてくるめざましに笑うと、視線を落として自分の身体を見渡した。僅かに痛みを感じる腕は三角巾で吊してあり、落ちた時についたであろう傷は、綺麗に縫われていた。
(いったい、誰が)
まだ意識がはっきりしない頭でねむるは見慣れぬ小屋の中を見回す。そして小屋の戸に人の背中が見えた。
ボロボロの革ジャケットに黒くもつれた長髪。ねむるはすぐに、それがあの日自分が助けた異国の男性だと気が付いた。
その背中は振り向くことなく小屋の戸に手を掛ける。ねむるは必死に不自由な身体を起こそうともがいた。
(やっと、やっと会えた。待って、まだ行かないで。伝えたい言葉が、あったはずなんだ)
モヤがかかったかのように働かない頭を必死に動かしねむるは記憶を辿る。英和辞典片手に探したあの言葉。一言だけ伝えたかったあの言葉。
「ま、待って! 行かないで」
ねむるは這うように彼の背中に呼びかける。一言だけ。あなたに伝わる言葉で。
「i forgive you !」
彼の背中が一瞬止まったような気がした。しかし。
小屋の戸が開かれた。
ねむるとめざましを暖かい小屋の中に残し、彼は1度も振り返ることなく、幻のように冬の闇の中へ消えて行った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
KAN
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年11月10日
参加申し込みの期限
2016年11月17日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年11月17日 11時00分
参加キャラクター一覧
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