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ふと台本から視線を外してみれば、風に吹かれた木の葉が転げていく様子が目についた。逆に言うならば変化といえばそれくらいしかなく、
鴻上 彰尋
がこの公園へやってきたときと変わらず人っ子ひとりいない。それが彰尋には好都合だった。
彰尋は今日のように幼い弟妹達の面倒を見なくてもいいときは、ふらりと公園を訪れ、祖父の台本を使って台詞の読みの練習をしていた。
別段、稽古をしていることを家族に隠しているわけではない。家で練習することもできる。実際に家で練習することだってある。ただ、数ある台本の中からたまたま手に取ったものは恋愛ものだった。まだ弟妹達には、できれば聞かれたくない。そんな羞恥心から今日は公園を選んだ。それもひと気のないところを。
何度となく風が吹き、彼の柔らかな黒髪が膨らむ。寒さに目を細めながら、髪と素肌の隙間を青いマフラーで埋めた。
再び視線を台本へと落とす。
「次はここか……」
その頁には恋心に気が付き、愛する人に会いたいと青年が苦悩を独白するシーンが書き記されていた。科白も動きも、ト書きまでもが少ない、けれどとても大切な転換点。科白という言葉に思いを乗せるのはもちろん、科白と科白の間、『間』にも思いを乗せる必要があるのだろう。
彰尋はシーンの始まりの科白『とてもずっと私の心が苦しいのです』という文字を何度も目で追い、同時にやけに余白の多い台本全体も捉えながら、彼の心情に思いを馳せた。
(よし)
雑念を取り払うかのように、彰尋は緩やかに息を吐く。そして真新しい酸素を取り込み、台本の中の彼を自身の内側へと迎え入れた。
『……とても』
切なく。
『ずっと』
苦く。
『私の心が苦しいのです』
けれどどこか冬の空気の透明感を纏った清々しい声で空に縋る。しかし小刻みに不安定に揺れる瞳は突然現実に引き戻され、静かに目の前を映し出した。
「……雪」
どこからともなく現れた、歪な六角形の結晶達。何故か彰尋のまわりだけをふわりふわりと不安げに漂い、彰尋の肩にそっと留まった。
(……綺麗だな)
まるで舞台の演出のように粋な彼らを微笑ましく思い、彰尋は愛おしげに人差し指の先ですくう。柔らかな冷気に目を細めると、ふと冷えた瞼の裏にひだまりの笑顔が浮かび上がった。
「――」
浮かんだ名前を呼ぶことはできなくて。
けれど漏れ出た吐息から、可愛らしい、君のように可憐な結晶が生まれた。くるりと風に踊る彼女は彰尋の耳元を掠めていき、彰尋の脳裏にいつか交わした言葉が蘇った。
「『想いが、積もる』」
一致した思いを科白に重ねると、その科白を受けて生まれた雪が折り重なっていく。
彰尋は胸を突かれた気分だった。言葉にはならない感情が、思わず涙となってこぼれ落ちる。頬を伝い、頤から垂れた雫が胸に留まった雪を濡らした。雪は思い出したように重力に引かれて落下し、慌てて彰尋は受け止めた。受け止めた結晶の固く脆い不思議な感触に、彰尋は覚えがあった。
「砂糖?」
訝しみながらも、表面が削れて指先に付いたわずかな粉末を舌の先へ運ぶと、慣れ親しんだ甘みが口の中一杯に広がっていく。その甘みを堪能する間に、君のようだと思った結晶を口にしてしまった事実に気が付き、彰尋は口を押さえて悶々とした。
つい砂糖菓子を持つ手を握ってしまいそうになっては慌て、暑くもないのに掌に汗が浮かんでは慌て、彰尋は急いで砂糖菓子をハンカチに包んで鞄の中に仕舞い込んだ。
(……今日は、もう帰ろう)
深々とため息を付いてから、彰尋は疲労の滲む足取りで帰路についた。カツ、カツと気の抜けた足音に合わせて雪が舞った。
しばらく歩いてシーサイドタウン駅前近くまでやってくると、そこは先ほどの公園と違って寒さに負けず賑わっていた。
それにどうやら路上ライブをしている人がいるようで人だかりができていた。
「イエーイ! 次の曲、いっちゃうよ! 皆手拍子よろしくね!
いくよー? 1・2・3・GO!!」
アップテンポなポップミュージック。その歌がよく似合う少女の歌声、ハンドクラップ、歓声。様々な音と雪で溢れた景色は温かく彰尋も思わず足を止めた。
歌に耳を傾けながらも、自然と雪や人々の表情を観察してしまうのは芝居好きの性なのか、それとも単に彰尋の性格ゆえなのか。
それでも彼なりにこの状況を楽しんでいると、ふと観客の中に見知った顔を見つけた。同じクラスの
回田 はつな
だ。
普段であればわざわざ声を掛ける必要はないと判断するか、あるいはせいぜい挨拶をする程度だろう。
けれど彰尋の目には何故かはつなが泣いているように見えて、どうしても無視できなかった。
「ありがとうございましたー!!」
思案している間にちょうど曲が終わり、拍手の渦に包まれる。彰尋も慌ててその渦に乗る。チラリと見れば、はつなも薄く笑みを浮かべ拍手を送っている。
「あれ? はつなちゃん?」
「うひ~! 凛ちゃんすごく上手だったよ~」
「えへ、ありがとう」
路上ライブをしていたのは
雨寺 凛
だった。
「そうだ、はつなちゃん! 一緒に合唱してみない?」
「合唱ですか~?」
「楓子ちゃんも一緒に!!」
「いや、楓子はそろそろコンビニに……」
凛に声を掛けられたはつなは、もう泣いているようには見えない。どこからどう見ても笑顔だ。
(もう大丈夫かな……)
ホッと胸をなでおろし、彰尋は静かにその場を立ち去った。
彰尋がマフラーに引っかかっていた結晶に気が付いたのは、帰宅してからのことだ。
そこに付いていたのは、溶けて消えてしまう雪でもなければ、甘いお菓子でもなく。どこまでも透き通った曇りのない美しい水晶のような雪の結晶。
いったいいつできたのだろうか。彰尋は不思議に思いながらも、美しい結晶を大切に保管することにした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
つるこ。
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
動物・自然
定員
10人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年11月07日
参加申し込みの期限
2016年11月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年11月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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