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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
増えるまたたびメイトの謎
――北校舎１階・保健室
先日の身体測定の際、ちょっとしたトラブルにより半壊していた保健室だが、急ピッチでの工事が行われた事により修復が完了していた。まだ、新しい建物独特の臭いがわずかに残っているものの、さほど気にならない。
保健医の鷲尾先生から留守を預かっていた保健委員の添木 牡丹が、入ってきた生徒に声をかける。入ってきたのは、中肉中背でスポーツ刈りが特徴的な男子生徒、渡辺 弥栄だった。
「すみません、頭が痛いので休ませてください」
「また保健室で仮眠ですか？ ……渡辺君、ちゃんと睡眠とってますか？」
「一応、日付が変わる前には眠るようにしていますけど……」
彼の答えを聞きながら、牡丹はちらり、と利用記録を見た。すると、ここ最近は２、３日に一度は保健室で休んでいるようだった。それと弥栄の顔色や様子などから、慢性疲労症候群の恐れがあるのではないか、と不安に思いながら、小さく溜息を付いた。
「それにしては、ちょっと顔色が悪いですね。……心配です」
やんわりと言う牡丹。弥栄は「そうでしょうか」と苦笑する。牡丹はベッドの空きを確認すると、弥栄をそこへ案内した。と、その時だ。
（あれ？）
弥栄がカーテンの向こうへ入ったと同時に、何かが落ちた。気になって拾い上げると、それはまたたびメイトだった。
（もしかして渡辺さんか、妹さんの好物でしょうか？）
まじまじと見ていると、保健室のドアが開く。声をかければ、ぱっちりとした緑の目が特徴な猫村 翡翠だった。
「あの、先輩！ またたびメイトで食あたりを起こした人っていないかな？」
彼女の問いに、牡丹は首をかしげながら利用記録をめくる。が、そのような人はいなかった。
「またたびメイトで食あたり、は聞きませんけど……今、渡辺君が落としました」
「……え？」
翡翠は牡丹が手にしているそれを見、目を丸くした。週初め以外は親戚の営んでいる駄菓子屋の二階に寝泊まりしている彼女は、朝に牛乳配達をしている弥栄の姿を見た気がしていた。寝ぼけ眼だったから確信が持てないが、顔を見たら思い出すかもしれない。翡翠はカーテンの方を向き、ぽつり。
「今、話せるかなぁ」
「最近、渡辺君はここにくると直ぐに寝ちゃいますぅ。どうでしょうか～」
翡翠と牡丹が少し考えていると、話す声が聞こえてきた。
カーテンが動く音と、何かが落ちる音がする。それで、八神 修は我に返った。体力作りの為に走っていた修だが、今日はちょっと距離を伸ばした結果、倒れたのだ。
（ん……？）
となりのベッドを見ると、いつの間にか人が入っていた。つけている校章の色が青色だった為、２年生である事がわかる。彼は修に気づくと一礼した。
（しかし、さっきの音はなんだったんだろう？）
不思議に思いつつも声をかけると、渡辺だ、と彼は名乗った。元々人懐っこい性格なのか、彼は修に話しかけてきた。
「君も、疲れてるようだね」
「まぁ……。先輩も、疲れが溜まっているようだな」
そう、修が返すと、彼は「弥栄でいいよ」と笑顔で言う。その優しい表情の中に、疲労の色を覚える修だった。
「そうだね。ちょっと張り切りすぎちゃったかもしれません」
ため息混じりに弥栄がそう答えた時。乾いた音を立てて何かが落ちた。咄嗟に拾った修だったが、よく見るとまたたびメイトである。
「あれ？ どうしたんですか？」
「いや、急に……」
弥栄がきょとん、としているが、修にも何だかよくわからない。それを見、弥栄は小さく苦笑した。
「そういえば、先日、これを落としたよって、クラスメイトに言われましたね。でも、僕は最近これを買っていないんですけどねぇ」
そう言った傍から、ぽろり、と弥栄のズボンのポケットから落ちるまたたびメイト。うまくキャッチしつつ、修は考えた。
――彼は『無自覚の』もれいびではないか？
それから暫くして、保健室には何人かの生徒が集まりだした。牡丹は初め注意しようとしたが、彼らが皆、どうやら弥栄を探しているようだと知り、カーテンを開けて声をかける。そんな時に現れたのは、先日の球技大会の疲れが抜けない逆巻 天野だった。
「……なんだい、これは」
思わず呟くと、保健委員の牡丹が小さく苦笑する。どう説明しようか、悩んでいるようだった。
「いや、ずいぶん人がいるなとおもってね。危険物の講習中かい？」
「違いますよ。なんでも、みんな渡辺君に用事があるみたいでして……」
牡丹の声を聞きつつ、天野は小さくため息をつく。彼は集団がどうも苦手なのだ。そうしながらも、ベッド嫌いな彼は椅子に座って休むことにした。そうしながらも、内心でぽつり、と呟く。
（最近は、人間の方が危険そうだけどね。……もれいびやヤンデレ的な意味で）
先日の身体測定の際、ちょっとしたトラブルにより半壊していた保健室だが、急ピッチでの工事が行われた事により修復が完了していた。まだ、新しい建物独特の臭いがわずかに残っているものの、さほど気にならない。
保健医の鷲尾先生から留守を預かっていた保健委員の添木 牡丹が、入ってきた生徒に声をかける。入ってきたのは、中肉中背でスポーツ刈りが特徴的な男子生徒、渡辺 弥栄だった。
「すみません、頭が痛いので休ませてください」
「また保健室で仮眠ですか？ ……渡辺君、ちゃんと睡眠とってますか？」
「一応、日付が変わる前には眠るようにしていますけど……」
彼の答えを聞きながら、牡丹はちらり、と利用記録を見た。すると、ここ最近は２、３日に一度は保健室で休んでいるようだった。それと弥栄の顔色や様子などから、慢性疲労症候群の恐れがあるのではないか、と不安に思いながら、小さく溜息を付いた。
「それにしては、ちょっと顔色が悪いですね。……心配です」
やんわりと言う牡丹。弥栄は「そうでしょうか」と苦笑する。牡丹はベッドの空きを確認すると、弥栄をそこへ案内した。と、その時だ。
（あれ？）
弥栄がカーテンの向こうへ入ったと同時に、何かが落ちた。気になって拾い上げると、それはまたたびメイトだった。
（もしかして渡辺さんか、妹さんの好物でしょうか？）
まじまじと見ていると、保健室のドアが開く。声をかければ、ぱっちりとした緑の目が特徴な猫村 翡翠だった。
「あの、先輩！ またたびメイトで食あたりを起こした人っていないかな？」
彼女の問いに、牡丹は首をかしげながら利用記録をめくる。が、そのような人はいなかった。
「またたびメイトで食あたり、は聞きませんけど……今、渡辺君が落としました」
「……え？」
翡翠は牡丹が手にしているそれを見、目を丸くした。週初め以外は親戚の営んでいる駄菓子屋の二階に寝泊まりしている彼女は、朝に牛乳配達をしている弥栄の姿を見た気がしていた。寝ぼけ眼だったから確信が持てないが、顔を見たら思い出すかもしれない。翡翠はカーテンの方を向き、ぽつり。
「今、話せるかなぁ」
「最近、渡辺君はここにくると直ぐに寝ちゃいますぅ。どうでしょうか～」
翡翠と牡丹が少し考えていると、話す声が聞こえてきた。
カーテンが動く音と、何かが落ちる音がする。それで、八神 修は我に返った。体力作りの為に走っていた修だが、今日はちょっと距離を伸ばした結果、倒れたのだ。
（ん……？）
となりのベッドを見ると、いつの間にか人が入っていた。つけている校章の色が青色だった為、２年生である事がわかる。彼は修に気づくと一礼した。
（しかし、さっきの音はなんだったんだろう？）
不思議に思いつつも声をかけると、渡辺だ、と彼は名乗った。元々人懐っこい性格なのか、彼は修に話しかけてきた。
「君も、疲れてるようだね」
「まぁ……。先輩も、疲れが溜まっているようだな」
そう、修が返すと、彼は「弥栄でいいよ」と笑顔で言う。その優しい表情の中に、疲労の色を覚える修だった。
「そうだね。ちょっと張り切りすぎちゃったかもしれません」
ため息混じりに弥栄がそう答えた時。乾いた音を立てて何かが落ちた。咄嗟に拾った修だったが、よく見るとまたたびメイトである。
「あれ？ どうしたんですか？」
「いや、急に……」
弥栄がきょとん、としているが、修にも何だかよくわからない。それを見、弥栄は小さく苦笑した。
「そういえば、先日、これを落としたよって、クラスメイトに言われましたね。でも、僕は最近これを買っていないんですけどねぇ」
そう言った傍から、ぽろり、と弥栄のズボンのポケットから落ちるまたたびメイト。うまくキャッチしつつ、修は考えた。
――彼は『無自覚の』もれいびではないか？
それから暫くして、保健室には何人かの生徒が集まりだした。牡丹は初め注意しようとしたが、彼らが皆、どうやら弥栄を探しているようだと知り、カーテンを開けて声をかける。そんな時に現れたのは、先日の球技大会の疲れが抜けない逆巻 天野だった。
「……なんだい、これは」
思わず呟くと、保健委員の牡丹が小さく苦笑する。どう説明しようか、悩んでいるようだった。
「いや、ずいぶん人がいるなとおもってね。危険物の講習中かい？」
「違いますよ。なんでも、みんな渡辺君に用事があるみたいでして……」
牡丹の声を聞きつつ、天野は小さくため息をつく。彼は集団がどうも苦手なのだ。そうしながらも、ベッド嫌いな彼は椅子に座って休むことにした。そうしながらも、内心でぽつり、と呟く。
（最近は、人間の方が危険そうだけどね。……もれいびやヤンデレ的な意味で）
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年05月14日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年05月21日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年05月21日 11時00分
