ボウリングしようよ！｜リアクション

ボウリングしようよ！

「いらっしゃいませ！　男女お二人様ですね！」
「はい」
「コースはいかがなさいますか？　デートならこの猫コースの方がいいかと！」
「えっ！？　デート？」
　店員の提案に八神修の声が上ずった。
　七夜あおいを誘っての、ボウリング場訪問である。
「いや、それは……」
「どうしたの、修くん？」
　あおいが横合いから聞いてくる。場内の音で聞こえてなかったらしい。
（落ち着け、自然体だ、自然体……）
　内心デートなら、と思いつつ、修は説明する。
「どうしよう、あおい？」
「うーん」
　そんな修の話を聞き、あおいは短く思案する。
　どんな返答になるか……修はどきどきしながら待った。

「猫コースで！」
　綾辻綾花は即答した。
「珪先生、サンマさんとの対決が始まるまで、練習いいですか？」
「もちろんいいよ」
　司書教諭の早川珪もにっこりと、快諾する。
「それに、ストライクを取ればこちらでも猫ぬいぐるみだからね、一緒に頑張ろう」
「はい！」
　目指せ猫グッズ――そのために、入り口でばったり会った珪に協力を要請した綾花だった。
「私はあんまり上手くないから不安で」
「僕もほどほどだけど、精いっぱいアシストするよ」
　二人ともストライクかスペアの回があれば、景品進呈だ。
　思い切って誘ってよかった。
　温かな言葉に感謝しつつ、綾花の挑戦が始まる。