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よく晴れた空だった。
デートウィーク中のある休日……といっても
滝原 レオン
は、あまりその言葉に馴染みがない。なんというか、ネットの記事あたりでは目にしても、ちょっと外国の風習というか、実感として肌に伝わってくるものではないように思えるのだった。自分と『デートウィーク』との間には、目に見えないが強固で、破ることのできない皮膜があるような気がする。
……まあ、それで特に不自由はしていないのだけれど。
だからこの午後、レオンが商店街まで出てきたのも、もちろん色っぽい用件ではなく単なる普段の買い物である。
寄り道せず向かったのは手芸店、趣味でやっている裁縫の材料が入り用なのだった。
買うべきもの、今必要ではないけれど気になるもの、新作等々を物色していたところ、
「……っ」
レオンはなにか、時計の中にある水晶が震えるような音を聞いた気がした。
「……こ、こんにちは……っ」
今度ははっきりと聞こえた。やはり、窓ガラスを震わせるような細かなビブラートのかかった声色だ。つまり、ガチガチに緊張した声ということになろうか。
レオンはひょいと振り向いて、
「おう、錦織か。偶然だな」
片手をあげて挨拶した。
声の雰囲気だけで、誰なのか察しは付いていた。
錦織 彩
。
レオンが所属する家庭科同好会のメンバーだ。小柄な少女で三つ編みの髪、フレームのしっかりした眼鏡をかけている。
悪い人間ではない。レオンは彼女のことをそう思っていた。
けれど彩がいつも、子ウサギみたいにびくびくと、怯えた様子なのが気になるといえば気になっていた。面と向かって言ったりはしないが、正直、いくらか苦手なタイプではある。いつもこちらの顔色をうかがっているようなその様子に、もっと堂々とすりゃいいのに――と苦言のひとつも呈したくなる。
けれど街中で呼びかけられて、無愛想な応答をするものではなかろう。
「お前も買い物か? 俺はぬいぐるみに使う綿買いにきたんだけど……」
レオンとしては、愛想笑いのひとつも浮かべたつもりだ。なるだけ気さくな口調を心がけてもいた。生来の三白眼ゆえの己が視線の鋭さは自覚しているので、できるだけの気は遣っている。
彩にも、レオンの心は通じていないわけではなかった。
けれども彼女はそこで、にかわで固定した彫像のように硬直してしまったのである。
どうしよう――最初に思ったのはその言葉だった。
訪れたいつもの手芸屋で、彩は偶然、滝原レオンを目にした。
彼のことなら知っている。家庭科同好会で会うこともしばしばだ。けれども『知っている』という状態は字義以上のものでは決してなく、彩には、彼と二人きりで話した記憶はほとんどない。
だからというわけではないが、つい、彼に呼びかけてしまった。
そうして、レオンから話題を振られすらした。
けれどここまでだった。
彩からすればレオンは頭一つ分、下手をすると二つ分は長身なのである。当然、肩幅も広い。呼びかけたときはそうも思わなかったものの、今、振り返った彼を見上げると、自分が子どもになってしまったように感じた。膝は震え心臓は縮こまる。足がすくむ思いである。
「……ええと、その……」
話さなきゃ、という気持ちがグルグルと胸の内を回っていた。質問されている。簡単な質問だ。だったら簡単に答えられるはず――そうはわかってるのだけれど、それでも、舌は張り付いたようになってしまってどうしても動かなかった。
「その……」
彩の目から涙が一滴、こぼれ落ちたのはなぜなのか。
恐怖からか。焦燥からか。自分を情けなく思ったからか。それとも、その三つが混じり合ったためだろうか。
「その……!」
後から後から涙があふれてくる。もう彩の、眼鏡の奥の目はくしゃくしゃだ。
レオンは仰天した。なぜ? どうして? 俺なにかマズいこと言ったか!?
「おおお、落ち着け、泣くなって、な?」
これで慌てるなというのが無理というもの。なにもしていないはずなのに罪悪感を抱く。
とにかく、公衆の面前でこれはいけない。幸い付近に他の客の姿はなかったが、見とがめられたら弁明できる自信はなかった。
「ち、近くに喫茶店があるから! とりあえずそこ行って落ち着いて話そう! な!?」
レオンはそう提案すると、無我夢中で彩の手をつかみ歩き出した。
レオンの手の内側に、温かくやわらかい感触があった。
まだべそをかいている彩と、その手を引いて先導するレオン。
男のほうが急に別れ話を切り出した高校生カップル、客観的に見るとそんな風に見えかねないふたりだったが、レオンはそれと自覚していない。
「ほら、歩けるな? もう少しだから」
カランとドアベルを鳴らして喫茶店に入り、入り口そばの席を目指す。
「とにかく座ってくれよ、ほら」
レオンは自然に椅子を引いていた。普段こういうことをするタイプではないのだが、うつむいている彩をおもんばかったのだ。
彩が座るのを確認して、自分も向かいの席に着く。
「大丈夫か? 落ち着いたか?」
呼びかけると、心の波がようやくおさまってきたのか彩は顔を上げている。
「うう……す、すみません……。あ、焦ったりすると、すぐにわけがわからなく、なってしまって……」
彩は申し訳ない気持ちで一杯だった。レオンはここに至るまで、途上でもずっと呼びかけてくれていた。それに対して自分ができたのは、ただうなずくことばかりだったのである。
「いや、そんな謝らなくても……」
レオンは力なく笑った。
怖がられるのには馴れている。そんなつもりはなかったのだが、睨んでいるとでも思われたのだろう。誤解されるのはいつものことだ。
「すみません……。いいいつも、し、失礼なことを、してしまって……」
主人が秘蔵していた皿を割ってしまった女中のように、彩はひたすら恐縮していた。
「気にすんなって」
レオンはそう呼びかけながらも、内心、穏やかではいられないのも事実だった。
――いきなり泣かれるとなあ……さすがにちょっと傷ついてはいるんだが……ま、言わないほうが賢明だよな……。
ウェイトレスが来たので、紅茶とケーキのセットを注文する。ケーキも紅茶も選べるのだが、彩はレオンを待たせることを恐れたのかメニュー写真の一番上をさっと指さし、これでいいと言った。それでレオンもゆっくり選ぶのが申し訳なくなり、同じものを頼んでいる。
それきり会話が途切れてしまった。
レオンは窓の外に目をやる。
彩は所在なさげに自分の膝に視線を落としている。
途中、頼んだものが来て、二人の間の空間を、ただカチャカチャとフォークを動かす音のみが埋めた。
いささか、気まずい。
やっぱ俺から話題をふるべきだろうか――レオンはそう思うものの、さっきの展開を思い出すとそう踏み切れない。
彩は恐る恐る視線を上げて、レオンをちらりと見ると、また慌てて目を伏せた。
いけない、このままじゃ嫌われてしまう――膝に乗せた彩の手に力がこもった。すでにいままでので十分嫌われる材料は揃っている。これ以上沈黙していてもプラスにはならないだろう。
ゆえに恐る恐る、彼女は唇を開いたのである。
「……ほ、本当は……もっと、お話……したいですし…………その、な、仲良く……なれたらなって……」
これだけのことを言うのに、ありったけの勇気が必要だった。
しかも頑張って前を向き、レオンの顔を見ながら言ったのである。といっても胸が高鳴って、じっとは見つめられないけれど。
えっ、とレオンは我に返った。虚を突かれた気分だ。
けれどもその言葉自体は、ありがたかった。
「こっちこそ、これからもよろしくな」
言いながら浮かべたレオンの笑みは、半解凍の肉まんのようにややぎこちない。
けれどもその笑みは、彩の笑みを誘うに十分なものがあった。
「あ、ありがとうございます……。……こ、これから、も、頑張ります……!」
「……なんだ、笑えんじゃん」
冗談めかしてレオンは告げた。
「あ、はい……そうみたい、です……」
「いつもそうしてりゃいいのに」
「は、はい……それは……そう、できたら、いいんですけど」
これはどういう気持ちだろうか――レオンの胸に、どうにも表現しがたい温かみが訪れている。
彩の笑みを見てなんだか得したような、もっと言えば貴重なものを目撃したような、そんな気がしたのだ。
もう少し、彩のことを知りたいという気もする。なんというか、これからゆっくり、仲良くなっていけたらいい。
それは彩も同じだった。ほんの小さな一歩だけれど近づけたというか、レオンを知ることができたように思う。もっと知りたい、とも。
やがておずおずと、目に見えぬ速度で引き潮が満ち潮に変わっていくように、レオンと彩は、途切れ途切れながらも会話を交わし始めたのだった。
話しながらふと、彩は自分の右手を見た。
――そういえば、男性と手をつないだのなんて初めてかしら……。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年10月28日
参加申し込みの期限
2016年11月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年11月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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