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2月の魔法の解けぬ間に
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休日明けの月曜日、朝の冷気に沈む武道場に、剣道部の素振りの音が響き渡っている。
響く声もぴったり合って、教会のクワイアのように荘厳だ。二年生の号令に合わせ、皆一心に竹刀を振っているのだ。
汗を流す部員のなかに、
優木 遥斗
の姿もあった。
遥斗の素振りは鬼気迫るものがあった。上げる声にも裂帛の気合いがあり、剣尖は、岩をも砕きそうな勢いを帯びている。
ところが彼のことをよく知る者が観察すれば、その太刀筋に、いつもほどの勢いがないことに気付いたかもしれない。実はこのところずっとそうなのだ。竹刀と向かい合っているはずの遥斗の心は、ともすれば別のところに行ってしまう。
幸か不幸かそんな彼を見守っているのは剣道をまるで知らない一応顧問の
島岡 雪乃
なので、「今日もがんばってるね~」とぽやぽやしているだけであった。
遥斗は無論、その原因を知っている。
それは、
泰葉(やすは)
から手渡された名刺だ。
裏に電話番号が書かれた名刺だった。名刺からは、泰葉のつけている香水の香りがほんのりとしていた。
――「なにかあったら知らせてほしい」と話した手前、自分の電話番号を確実に簡単に向こうに知らせるためにも一度電話したほうがいい。
遥斗は迷う。
――だが、どう話したらいいんだ……。
迷うから、竹刀を握る手に魂が籠もらない。腕の力で振り下ろしているだけだ。それでは威力は半減する。
寮に入るまで遥斗はずっと、無口な父親と二人暮らしだった。小学校でも中学校でも、誰かと一緒にいるより一人でいることを好んだ。友達があっても同性だけだ。授業や委員会活動でも、女子生徒と話す機会は必要最低限、小学校中学校と、担任教師まで男ばかりだった。異性と接する機会などほぼなかったと言っていい。
そんな自分の人生に突然、蜜蜂のように入り込んだ異性だからだろうか。泰葉のことばかり考えてしまうのは。
いつの間にか朝練、そして授業も終わり、放課後の部活動も漠然とした気持ちで過ごして、寮への帰路を遥斗は歩いている。
これまでの人生、女性と接する機会は確かになかった。
けれどそれは、桜花寮に入って寝子島で生活するようになってから変わった。
不思議な事件に出くわすようになり、女子と話をする機会が増えた。
でも、だからといって、苦手意識は変わらないのだ。できることなら、女性と話さずにすませたかった。
それなのになぜなのか、いま遥斗は、泰葉と話したくてたまらなくなっている。何を話せばいいのかは、皆目見当もつかなかったけれど。
――洞窟内の出来事も、まだ全て解決したわけではない……また、危険なことが起こる可能性がある。
事情はわからないが、また泰葉さんが何かに巻き込まれるかもしれない――そう考えるだけで、いても立ってもいられなくなる。
彼女を、護りたかった。
桜花寮を目指していたはずなのに――。
はたと遥斗は足を止めた。
すでに暗くなったこの場所は、シーサイドタウンのキャットロードではないか。どうやってここに来たのか、あまり思い出せない。ただ、導かれるようにふらふらと、島の南に来ていた。
街には、あかあかとネオンが輝いている。夜の店がシャッターを開け始めていた。
学生服でうろついていい場所ではないだろう。戻ろう、と決めて振り返った遥斗の視線の先に、あろうことか泰葉の姿が見えた。
それは洞窟で出逢ったときとも、昼のキャットロードで再会したときとも異なる姿だった。
夜の蝶、その言葉は言い過ぎではない。
千鳥格子柄のスーツ、タイトな黒のスカート、同じく、夜そのもののように黒いハイヒール。すらりとした脚を、ブラックストッキングに包んでいる。ソバージュのかかった髪は、以前目にしたときより濃いように見えた。
泰葉も遥斗に気がついたようだ。
しかしこのとき、泰葉は一人ではなかった。
細身のスーツを着た中年ぽい男性と、腕を組んで歩いているのだった。男性は頭髪がなかなか厳しいことになっている。冬の寒さはさぞやこたえることだろう。
デート?
いや、同伴出勤というやつだと遥斗は思う。なじみの客と一緒に店に出勤する、それだけのことなのだが、行く前に軽く食事するのが普通なので、一種のデートといっていいものだ。これもキャバ嬢のサービスとして知られている。だから当然、有料である。つまり泰葉にとっては、仕事だ。
男性のほうはなんだかのぼせ上がったような表情で、そのせいか遥斗にも、泰葉が一瞬身を強張らせたことにも、まるで気がついていないようだった。
泰葉は遥斗をあえて見ぬようにして、やや歩みを早めた。
そうして、数メートルほど行きすぎたところで、
「鶴田さん、今日はありがとうございます。じゃあ、今日はここまでで……先にお店、入ってて下さい」
「泰葉さん、どうしたの?」
「ちょっとした趣向を考えて……楽しみに待っていて下さいね」
それを聞いた男は「うひょ」などと奇声を上げて店のほうに走って行った。どうせここからなら、直線距離で百メートルもない。すぐ着くことだろう。
しばらく客の背を見送って、泰葉は遥斗のところに戻ってきた。
「どうしたの優木くん、こんな時間にこんなところで……」
「それは……」
遥斗は自分の靴を見つめた。
「それより、さっきの人、いいんですか?」
そんなつもりはなかったのだが、口調がつい、辛辣になっていた。
足元に落とした遥斗の視界に、泰葉のヒールが入り込んだ。顔を上げるともう、彼女は息がかかるほどの距離に来ている。
「いいのよ。『趣向』ならこれから考えるし」
と告げた泰葉の口ぶりはどこか冷淡だった。けれど遥斗に向き直ると、彼女はまた、温かみのある口調に戻って、
「だめよ。高校生が夜にこの界隈を歩いてちゃ」
弟に言い聞かせる姉のように言うのである。
遥斗は、はいともいいえとも答えなかった。かわりに、制服の上に着たダウンジャケットの胸ポケットに手を入れ名刺と携帯電話を取り出していた。
「電話します。出て下さい」
携帯のボタンを押す。やがて泰葉の持ったハンドバッグの内側から、オルゴール調の呼び出し音が鳴った。
泰葉はなにも言わず、微笑して電話に出た。
「はい、泰葉です」
「優木遥斗です。いま、そちらに表示されているのが俺の番号です。……この番号にかけて下さい」
これが遥斗の出した結論だ。
泰葉に電話をかける、そう決めていた。
「うん」
泰葉は電話を切ると、やはり目の前で折り返し電話を掛けてくれた。
「優木君?」
「はい」
「どうして今日は、ここに来たの?」
遥斗は静かに息を吸うと、落ち着いた口調で素直に話した。
「もう一度会いたかった。それだけです」
海千山千のキャバ嬢、『プロムナード』のナンバーワン、その泰葉の、電話を持つ手が震えていた。
「あっ、そ、それは……あの……」
泰葉は視線を外して口元を手で押さえ、しどろもどろになりながらやっと言ったのである。
「ありがとう……」
かあっと顔が紅潮している。
電話を切ってもまだ遥斗を直視できない様子で、「じゃあ、またね」と短く告げて泰葉は、店に向かい小走りで去って行った。
その晩遅く遥斗の携帯に『今日はびっくりしちゃった。また話そうね』というショートメールが、泰葉の携帯から届いていた。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年10月28日
参加申し込みの期限
2016年11月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年11月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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