大怪獣襲来！～マンボウくん危機一髪～｜リアクション

大怪獣襲来！～マンボウくん危機一髪～

　ずしーん。ずしーん。
「きゅううぅぅ～～～～」
　マンボウくんが、歩く。否、これはマンボウくんなのか……！？　いつものマンボウくんのサイズではない。いわば、巨大怪獣マンボウくん。つまり、いつものマンボウくん（中の人などいない）とは似て非なるものなのだ……！
「幾ら何でもでかすぎるだろ！？」
　曖浜鴻は、トラックのハンドルを切り、マンボウくんの進行方向を確認しながら追いかける。キャットロードの方へ向かおうとしているならば、先回りするまでだ。
「元の寝子島に出たら、色々出動しちまうぞ……」
　なんとかこの空間にいる間に元に戻すなり倒すなりしないと。頭が痛くなりそうになりながら、鴻はマンボウくんを追い越して行った。

「わぁ、マンボウくん……おっきいねぇ！」
　すごいすごい、と無邪気に見上げる曖浜瑠樹。
「おっきいなんでもんじゃないぞ！」
　トラックの窓から鴻が事情を叫ぶ。なんでも、マンボウくんがこのままの状態だと今は異次元だから何とかなっているが、この次元がもたなくなったとき、元の世界に戻り、寝子島を破壊しつくしてしまうらしい。瑠樹は表情を一転させると、あわわ、と慌てて近くに止めてあった自転車に跨った。
（持ち主さん、ごめんなさいっ！）
　全速力で、鴻を追いかけるように自転車をこぐ。

「きゅ～、きゅう～きゅううう」
　巨大なマンボウくんの鳴き声を聞きながら、八神修はカバンから取り出したノートを丸め、即席メガホンを作って叫ぶ。
「マンボウくーん！　聞こえるか！？」
「きゅううううきゅううううう～！！」
　駄目だ。なんか興奮してるっぽい。
「何所に行くか決めてるのかい？　目的地が有るなら右、無いかよく分かんないなら左のヒレをパタパタさせてくれ！」
「うきゅうううううううう」
　聞こえてはいるようだが、完全に興奮と混乱のさなかにいるマンボウくんは修の提案を無視してキャットストリートへ進む……！
（おかしい……！　心優しいマンボウくんが、俺の言葉に反応してくれない……！？）

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