仲良くなりたい、その３｜リアクション

仲良くなりたい、その３

○ボクシング部

　ある日の放課後のこと、新田亮がボクシンググローブを取り出しているところへ、牛瀬巧先生が通り掛かりました。
「お。君ボクシングやってるんか？」
（確か……ボクシング部の牛瀬先生だったかな）
「はい、ジムに通っています」
　亮は牛瀬先生と直接話すのは初めてでした。
　ただボクシングジムに通っていて興味があるので、部の顧問である牛瀬の顔と名前は覚えていました。
「そんならボクシング部入らへんか？」
「俺はジムで十分ですよ」
「そやな。でもな、プロもアマもいろんな体験をしておくのも悪くないで。せっかく同じ趣味の仲間が近くにいるんやしな」
「一理ありますね。それなら体験入部させてください。ただ、もし部活が不要だと判断したらすぐ辞めますよ」
「おお、もちろんかまへんで。やってみんとわからんこともあるしな」
（なるほど、そういう考え方もあるのか）
　亮は思いました。
（この人の部活に入れば技術以外にも色々学べるかもしれない）
　その足で亮は、ボクシング部へと向かったのでした。