仲良くなりたい、その３｜リアクション

仲良くなりたい、その３

○公園

　寝子島のとある公園でぼんやりと空を眺めている胡乱路秘子に、声をかける者がありました。
「胡乱路！」
　声のほうを向いた秘子は、赤い髪の少年ロベルト・エメリヤノフを認めるといつものようににんまり笑いました。
「んふふ。こんにちは、エメリヤノフさん」
「胡乱路もこういうところに来る時があるんだね」
「んふふっ。わたくしはどこにでもいますよ」
（思えば、今までいろいろあったなぁ……いろいろあった）
　秘子と過ごしたフツウでない時間のことがロベルトの胸をよぎりかけましたが。
　今は普通の時間を過ごしている秘子と、普通の話をしたいと思いました。
「美術の課題だけど、順調に進んでる？　僕はどうも遅れててね……」
「んふふ。美少年に見とれていたのではありませんか？」
「あれ、わかっちゃった？　席が問題なんだよね……」
　そんな他愛ない話をしたロベルトは、自分の用事を思い出しました。
「あ、時間だ。ごめんね、また明日！」　
「んふふ。気をつけていってくださいね」
　そのまま秘子は、ロベルトの後姿を見送りました。

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