仲良くなりたい、その３｜リアクション

仲良くなりたい、その３

○空の散歩

　可愛らしい一羽の雀がシーサイドタウンを飛んでいました。
　それは、ろっこんで鳥に変身した御巫時子でした。
　眼下に広がる風景を楽しんでいると、見覚えのあるグラウンドや建物が目に入りました。
（あれは寝子高ですね……先生に会いに行きたいです）
　時子は高度を下げ、五十嵐尚輝先生がいるであろう理科室のある校舎の窓に向かいました。
（今は何をされてるんでしょうか？）
　すると、ちょうど五十嵐先生が窓を開けたではありませんか！
　時子は思い切って、窓から部屋へと飛び込んでいきました。
「チュン」
「おや、迷い込んでしまったのですか」　
　そうつぶやく先生の肩の上に、時子はそっと止まりました。
（ずいぶん人懐こい雀だ）
　そうは思ったものの、邪魔にするわけでもなく、五十嵐先生は実験を始めました。
（このままずっと見ていたいです）
　新鮮な感覚を楽しむ時子。
　ただ顔が近いので、意識するとドキドキしてしまいそうです。
（先生、ちゃんと食事をされたでしょうか……お弁当を持って来ればよかった）
　鳥になってもそんなことを心配する時子でした。