眠猫島夢奇譚　古代ネコ文明（探索編）｜リアクション

眠猫島夢奇譚　古代ネコ文明（探索編）

●古代ネコ文明に迫れ！
　どすん。しりもちをついた亮は、後から落ちてきた美咲紀の下敷きになってもんどりうった。
「えっと……ご、ごめん。大丈夫ですか？」
「へ、平気だ。それより八神は」
　落とし穴に落ちたことである意味難を逃れた二人だが、逆に言えば修は取り残されたままだ。
「シュー君、無事ですかー！？」
「ああ」
　穴の上からひょっこりと顔を出す修。
「二人が落とし穴にはまったのを見て、なぜか戻っていった。そっちは安全そうか？」
「みたところは……」
　ライトで周囲を照らしてみるが、トゲトゲしたものや出待ち中のミイラらしきものはない。
　修は美咲紀の手を借りる形で下へと下りてきた。
　そうこうしていると、先に調査を始めていた亮が壁画にライトをあてていた。
「見てくれ。ネコがガイコツのようなものを従えている絵にみえないか。棒のような、杖みたいなものを掲げて操っているようにも見える。もしかしたらさっきのミイラを動かすような技術があるのかもしれない。気味が悪いぞ」
「それだけじゃあなさそうだ」
　修は壁の一部に手を当てた。
「ピラミッドの構造を見ていてピンときたんだが、この下にはリバースピラミッド。つまり裏側があるんだ。そして、間をつなぐ門を守っている種族がいる。それが……」

「『キトキト族』……」
　綾花は床一面に彫り込まれた肉球文字をろっこん能力解読しながら、なぎさやまほろに説明していた。
「古代ネコ文明にはゴロゴロ族とキトキト族があって、それぞれ別の王国を築いていたみたいです。伝説のねこじゃらしでネコを従えて、人々に良い知恵を授けたゴロゴロ族。逆に人々をミイラの兵隊にして操っていたキトキト族。けどその文明はなにかの原因で滅んでしまったみたい……」
「伝説のねこじゃらしって、これかな？」
　普通の猫じゃらしとは比べものにならない、軽く１メートルくらいある巨大猫じゃらしを台座から引き抜くなぎさ。
　すると、ゴトゴトと音を立てて壁がゆっくりと開いていった。
「これは……」

「エクスカリカリバー……だと？」
　刀は台座に刺さった細身の剣を引き抜いて、ぼそっと呟いた。
　そばにいた凛たちが軽く半歩引く。
「かりかり……？」
「刀くん……」
「いや、ちがうんだ、これを引き抜いた瞬間頭に流れ込んできたことがあってだな」
　碧南や夏朝にも分かるように説明するところによると。
　このピラミッドが建てられた時代にはコロッセオで『にゃん闘士』というネコたちが武器をもって戦い、勝利を重ねたネコは高い地位や名声を得たという。
「当時のネコの中には特殊な能力をもったネコもいたようだ。コロッセオはそんなネコたちが技能を競い合い、最も強いネコが国王になるというシステムがあったとも……」
「それで、刀くんの持ってるそれは？」
「国王の剣だそうだ」
「かりかり」
「かりかりばー」
「刀くん……」
「いやっ、ほんとだ！　ほんとだぞ！？」

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