未来に向かってにゃーっと準備｜リアクション

未来に向かってにゃーっと準備

○照明と「にゃーっ！」

　そこへ、マリベルがやってきた。
「照明の確認やな？　手伝うでー」
「ありがとう、助かるわ」　
「ウチの事だから照明の配線に当日足を引っかけたりしそうだから特に気を付けないとな……」
　舞台の配線を気にしつつマリベルが言う。
　彰尋は調光卓の操作をし、紅葉とマリベルが光の加減や方向をチェックする。
「そうね、そこはもうちょっと右手にライトを寄せて」
「このくらいですか？」
「そうやな、うん、そこでええんやない。あ、当日の流れの表ある？」
「ああ、どうぞ」
「よし、カメラチェックとビデオチェックをするでー」
　マリベルは当日の流れを確認しながら、写真と動画をどう切りかえるか考えていく。
（参加者全員が楽しめている様子をちゃんと記録として残せるように頑張ってみるで）

「あとはシャウトの時はどうするか……試しにまずはマイク無しで叫ぶしかないけど、これは女性の声量と男声の声量で違うだろうから」
「鴻上くんもシャウトしてみたら？」
「そうですね……何を叫ぼうかな。テーマでいいかな……？」
　彰尋は息を吸い込み、大声でシャウトする。
「未来に向かってにゃーと鳴け！」
「マイク無しでいけそうね」
　紅葉が頷くが、マリベルが言った。
「後ろまで聞こえたかな？」
「そうね、私講堂の一番後ろに立ってみるから、もう一度叫んでくれる？」
「それじゃ、もう一度……」
　結局、テストは何度も繰り返された。
「ちょっと疲れてきたな……」
「短くしてもいいんちゃう？」
「それじゃあ……にゃーっ！！」　　　
　恥ずかしさを抑えて彰尋が叫んだとき、たまたま部活帰りの生徒たちが通りかかった。
　何事だ？　と言う顔でのぞきに来た生徒たちの視線が痛かったが、紅葉は気にせず両手で大きく○を作って見せた。
「ＯＫよ。おつかれさま。それじゃみんなのところに戻って休憩しましょう」
「はい。先輩もお疲れ様でした」
（さすがに喉が疲れたしなにより、ジャージが寒いな）
　温かいお茶が欲しい、と思う彰尋だった。
　

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