The NEKOJIMA M@STER｜リアクション

The NEKOJIMA M@STER

【ネコジマウエスタン（耽美）】

　さて、こちらは再び西部劇の撮影現場。
　西部劇の醍醐味は銃撃戦である。
「スタントはいらないよ！　僕の身軽さを見せてあげる！」
　にこやかに笑みつつ、ひそかにろっこんで獣人化した響タルトが、銃撃戦を経て、屋根の上から馬車の上に置かれた棺桶に転がり込む。
　そこに、鎌八まもる扮する用心棒も飛び込んでくる。
「良い腕だな、ヒビキ。しかし、お前の腕、男なのに細くて白くて……」
「（ちょっ……ムッシュくん近いって……！）」
　密着した距離で、二人の会話がアップで撮影される。
　設定では、まだ用心棒はヒロインが女であることに気づいていない。
　ゆえに、男なのに惹かれてしまいそうになっているまもるの戸惑いが、このシーンの肝なのだが、まもるは上手くできている。もしかすると、帽子の裏のポニーテールに興奮しているだけかもしれない。
「はい、カット！　休憩挟んで、ラストシーン行きます！」
　スタッフの指示で、まもるとタルトは棺桶から飛び出す。
「いやー。撮影はハードだけど、楽しいな。さっきのシーン俺達の歌がＢＧＭになるんだろ？　楽しみだなぁ」
「……ムッシュくん、顔近過ぎ。まあ、ＢＬとしてはアリだけど、むしろおいしいけど……」
　撮影時と素で豹変ぶりが激しいまもるに、タルトが複雑そうな表情で突っ込む。
「はい、じゃあラストいきまーす。二人のキスシーン撮ります」
「ええっ！？　僕、そんなの聞いてないよ！？　原案僕なのに！？」
「ああ、ほら。そこは脚本のアレンジで」
　しれっとした顔で準備を進める監督に、タルトは頬を膨れさせる。
「まあまあ、にゃんこたん。これも運命だと思って、あ、もちろんキスはディープな方で……痛い痛い蹴らないでっ！！」
「もう、真似だけだからねっ！」
　と、念を押した上で、二人は再び撮影へ。
　二人は見事に黒幕を倒し、大団円というところで、風がタルトの帽子を吹き飛ばす。
「……ヒビキ、お前、その髪」
「……そうか。バレてしまっては仕方がないな……」
　二人は見つめあい、そっとその距離を縮めていく。
「はは、男のお前に変な気をもっちまった時はどうなるかと思ったが、お前が女なら問題ない」
　と、まもるはタルトを抱き寄せて、
「西部で一匹狼やるのも飽きてきたところだ。どうだ、用心棒としてじゃなく、一人の女として、俺の相棒になる気はないか？」
　と、言って、タルトの唇に顔を寄せた。
　もちろん、直前でタルトの手がまもるの顔面をカメラに映らないようにガードしていたが（演技派）。

「はい、カット！　お疲れ様でした！」

　そんなこんなで、撮影は無事に終了した。

「もう！　ムッシュくん、どさくさに紛れて本当にキスしようとしたでしょ！」
「あはは、そんなことあるわけが……あるかもね（ｳｲﾝｸ」