風が吹けば、ののこが笑う｜リアクション

風が吹けば、ののこが笑う

「おやぁ？」
　骨削瓢はその日、暇つぶしにあてもなく散歩をしていた。
　その道中、見知った顔を見つけたのである。
「あれに見えるは理科の五十嵐先生だねぇ。隣にいるのはたしか二組の子だよぃ、と」
　寒いせいか、時子と尚輝は自然と、近づいて歩いているように見える。
　はたから見ても仲良さげな光景だった。
「これは教師と生徒の禁断のナントカってやつかい？」
　興味がもたげて、瓢は二人を目で追う。しばらくどうしてやろうかと考えるが、先ほどから吹いている風に口の端を吊り上げた。
「……プライベートを覗くのも一興だが、少し遊んでみようかね」
　瓢のろっこんが発動した。
　風が巻き起こり、局地的な竜巻となる。それは吹いていた風と相まって、よりいっそうの強風を周囲に撒き散らした。
「な、尚輝先生！　尚輝先生ー！？」
「こいつぁ愉快。風で先生が空を飛んじまったよぃ、と」
　白衣をはためかせて風船のように吹き飛ばされる尚輝と、それを追う時子。瓢は笑って、再び竜巻を作るのだった。

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