激走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第三区間）｜リアクション

激走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第三区間）

●襲来！　可愛いのと目が離せないの！

　ネコの波が訪れる。
　幸せの波、けれどそれは誘惑の波だ。
　そんな中に現れた奴らが居る！　

　――謎の４老人。

　その姿とは……。
　気持ちばかりのネコのきぐるみ！　しかもその色はレース前に駆け抜けて行った何かと同じ色。
　赤、青、金、緑。
　走者にあの記憶が蘇る！
　偉そうに腕を組んだボス爺レッド（ver.ネコ）はどや顔。
　すましクール参謀な爺ブルー（ver.ネコ）もどや顔。
　金の匂いを醸し出す悪代官のような爺イエロー（ver.ネry）もどや顔。
　のほんとネコとおんなじ顔をした爺グリーン（ry）はほんのり。

　大体どや顔！

「「４人揃って、寝子島ふぁんた爺ズ！！」」
「「にゃー！！」」

　口上とポーズはしっかりと。
　乗り物は大漁旗付きのカブ、まだまだ使います！
　頭にはなんと、ネコです。ネコがぺたんとしています。
　着ぐるみの頭みたいになってます！

「「さぁ、ネコたちよ！　ワシらについてこい！」」

　さっと掲げられたそれは――マタタビ。
　え。なにそれずるい。

「わ、わっ！？」
「きゃっ」
「おおお……？」
　爺を追いかけはじめたネコたちの波に足を奪われたのは竹チーム。
　プラスして服装効果か、仲間と思われたらしく、その波にしっかりと乗せられてしまう！
　つけしっぽにはぷらんとネコがぶらさがっている。ぷらぷら。
　うまく身動きがとれない、だが！
「ネコホーム長女の根性見せ付けなきゃ！」
　瑠璃条ベガの根性でその場に踏みとどまる。根性つぇぇぇ。
「なんと、やりおる！」
　ベガの根性にうっかり感心してしまった爺ズ。
「いやいや、ならば次の手よ！」
　そう手を掲げたその時。

「ネコとて重かろう、そのネコを私が預かろうではないか」
　鈴木修一郎が緑爺の頭からネコをそっとはがした。
　あ……校長、なんてそんな野暮な発言はナシナシ！　
「なに遠慮することはない、老人には親切と決めている」
（妨害に加わるということは、きっと可哀想な身の上ゆえに違いないわ！　ハハハハ！）

　必殺！　荷物持ち！

「あ、俺も　俺も」
　修一郎の親切に混ざる六月一日宮檸檬。
　そっと爺の肩に手を添えて。

　必殺！　肩もみ！

「よし、わしも手伝うとするかの」
　猫ヶ崎獅子子も爺の手を取り、転ばぬようにと。
　
　必殺！　誘導！

　梅チームの『老人には親切に！』が炸裂する。
　確かに頭が軽くなった。しかも肩もみは心地良い。
　更に歩きにくい足元はサポートされてしまっている！
　トゥンク。
　ネコよりも爺が絆されて……

　あれ、寝子島ふぁんた爺ズが完封されています。

「チャンスかな？」
「うん、チャンスだね」
　天馬ひびきと光村日向が小声でひそひそ相談している。
　そう、爺ズ完封の今がすり抜けのチャンス！
　松チームがいとも簡単に横をすり抜けていく。
　突然に訪れたリアルラック、それも実力のうち！

「うむ、感心じゃな。気に入った！」
　うっかり足を止めてしまった爺ズたちが、大漁旗をかざしたカブに乗って去っていく。　
　その背を手を振って見送り、ようやく梅チームは気がつくのだ。

「「あ、」」

　はい。そうです。レース中です。
　全力で親切にしたせいで忘れていました。

　梅チーム、ぶっちぎりの最下位でございます。
　――しかし、本気はこれからだ。
　頷いた三人の目は本気に近かった。

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