恵方巻かれレース！｜リアクション

恵方巻かれレース！

◎空から恵方巻き、そして……

「なんやふってきたわ」
　順当にトップを進んでいたちかは、上から降ってきたものに気づきます。
「巻寿司？　たべたパワーアップするんか？」
　いつのまにか地面にはビニールが敷かれています。
「どうせやった、たこやきのんがよかったわ、ちか」
　と言いつつも、もぐもぐかぶりつくちかです。
「うまっ、これ巻寿司うまっ。力わいてきたー」
　マンボウくんが解説します。
「というわけで、ここは恵方巻きが降ってくる補給ポイントだよお～。ウェットティッシュも準備されてるよ」

「今度は恵方巻きが空から降ってきた？」
　碧南も驚きながら、当然ゲットします。
「おいしく頂けるものはなんでもいただくわ」
　恵方巻きを口いっぱいに頬張り、もぐもぐ……
（あれ、なんだか身体が熱い？　力がみなぎってきて……）
　幸せな気分になった碧南ですが。
（……え？）
　バスケ選手としての勘が、背後から迫る敵の存在を告げました。
　食べるのに夢中で進みが止まっていたのです。
　一馬と絽紗が近くに迫っていました。
（抜けるか？）
　と思った一馬ですが、頭上から恵方巻きが降ってきました。　
「太巻きってぇ、手ぇ使えねえのにどうしろと」
　戸惑う一馬ですが、さっきからエネルギーを大分消費しています。
　補給の機会を逃すわけにはいかないとかぶりつきます。
「もが……旨いけど、食べづれえな」
　進みながら食べようと苦戦している一馬に、
「待って、私が」
　ウェットティッシュで手を拭いた絽紗が、優しく恵方巻きを掴みました。
　一馬の様子を見ながら、食べやすいように支えてくれます。
「喉につまらないように気をつけてくださいね」
「もが……ああ」
　至近距離で覗き込みながらの絽紗の言葉に、赤くなりながら一馬は一生懸命咀嚼するのでした。　
（味なんかよくわからねえけど……力が湧いてきた！）
「うわあ……見てたらなんだか熱くなってきたよぉ……きゅう」
　マンボウくん、安定の気絶です。
（うわあ……砂糖増量シーン！）
　絽紗たちを見た碧南も乙女ゲームのあれそれを思い出しそうになりましたが。
　さらに背後から迫るものに気づきました。　　
「にゃー！　にゃー！」
「……ね、猫？　なんで……？」　
　どこからともなく猫の群れが現れ。追いかけてきました！　
「ぐわー、お、俺は恵方巻きじゃねえ～！」
　襲い掛かられ、もっとも被害を受けているのはサンマさん。
　たくさんの猫に尻尾にかぶりつかれ、どんどんスピードが落ちていきます。
「……きゅう」
　その光景に、解説もできないままマンボウくんは気絶しました。
「なんか猫が襲い掛かってくるよ？　なんで！　ひいぃ」
　碧南も猫に襲われながら、必死に前進します。

（あれぇ、空から何か……）
　着実に進む瑠樹も、恵方巻きゾーンに差し掛かりました。
「わぁ、海苔巻きだー！」
　嬉しそうに瑠樹は恵方巻きを捕まえました。
「お腹空いてたんだよぉ、中身何だろう？　辛いのなしだといいなあ」
「恵方巻きの中身は玉子とか胡瓜とかで、辛くないからだいじょうぶだよぉ」
　マンボウくんが解説します。
「よかったあ。ありがとう。おいしく食べるなぁ」
　瑠樹はマンボウくんにお礼を言いながらもきゅもきゅ、と食べます。
　その時。
「後ろからにゃーにゃー……？　にゃんこだー！？」
　周りを見れば、サンマさん恵方巻きが猫にかぶりつかれて目を回しています。
「恵方巻き食べたいのかねぇ……でもオレ達は食べられないよぉ！」
　周りを見れば、たくさんの人たちが猫に追いつかれ引き離すのに苦労しています。
「どうしよう……？」
　その時瑠樹は、自分のろっこん『ゆるゆる和みと恩恵の輪』を思い出しました。
（にゃんこ達和むと良いなぁ）
　と思いながら、バタバタ暴れているどこかユーモラスな前方のサンマさんを眺めます。
（うん、和むなあ）
　ろっこんが発動、猫たちは脱力してゴロゴロ喉を鳴らし始めました。
「さあ、今のうち進むよう」

　現在のメイン参加者順位　
　１位　ちか　２位　碧南　３位　一馬＆絽紗　６位　瑠樹、サンマさん
　　

　

このページにイラストを設定する