恵方巻かれレース！｜リアクション

恵方巻かれレース！

◎登り坂、匍匐前進タイム！

　登り坂まで来た時、ちかはすいっとサンマさんの前に転がり出ました。
「うおっ？　どっから現れたんだお嬢ちゃん？」
　驚くサンマさんにちかはウィンクします。
「おおきにごくろうさん♪」
　こうしてちかは空気抵抗を最低限に抑えて進むことができたのでした。
「登り坂はギアをローや、基本やな」
　そう言いながらちかは地面に触れ、ドリルをイメージしました。
　ろっこん『螺旋』が発動！
　なんと、ちかのお腹がドリルになって回転を始めました。
　その回転によってちか恵方巻きは前方へ加速していきます。
「いっくでー！」
　瞬く間にちかはサンマさんを引き離しました。
「いよいよ匍匐ＯＫのエリアだよお～。ちか選手、早いねえ」
　復活したマンボウくんはスクリーンを見ながらの解説です。
「ボクもやってみようかなあ？　あれ？」
　ためしに匍匐してみたマンボウくん、あっさり転倒。
「……きゅう」

　碧南は匍匐前進に入っていました。
（そういえば体育館で携帯の電波の入りが悪いからって、匍匐前進しながら使ってた子いたっけ）
　そんな中学時代のことを思い出しながら、長い腕でガンガン前進していきます。
「それにしてもしんどい……」
　汗だくになりながら、碧南はつぶやきます。
「でもなんとなく楽しい」
　
「腕だけで進むなら第四匍匐だな！」
　一馬は両肘を前に出し、進み始めます。
「第四、ですか？」
　自衛隊用語にきょとんとする絽紗ですが、一馬は説明するよりまず進むことにしました。
　ペア参加の身長差の強みでしょうか、恵方巻きは絽紗には十分すぎる長さでしたが一馬には少し短めでした。
「ああ。銃無しで済む分やりやすいわ。ちょっとでも足先が出れば……よし、合わせてつま先で地面押してくぞ」
「銃、ですか……」
（すごく一歩一歩が素早くて、スムーズ……）
　素人目にも、それは見事な匍匐前進でした。
　絽紗は銃を担いで匍匐する一馬の姿を想像しました。
（かっこいいですね……）
「ここでなるたけ距離稼ぐぞ！」
　一馬も匍匐前進に勝負をかけていました。

「この辺りだと腕出して良いんだったねぇ」
　先頭のちかからは大分離れてしまいましたが、焦らず着実に、マイペースに頑張る瑠樹です。
「腕出してほふくーほふくー！」
　ずーりずーり、と瑠樹は進んでいきます。

「ターン!　ぎゃりぎゃりぎゃりー！　冴えとるでー」
　先頭では坂を上りきったちかが急カーブに挑んでいました。
「ポケットから取り出した棒きれを地面に刺してるね～。なるほど、スピードを落とさないで旋回できるんだねえ」
　感心するマンボウくん。
「見事なコーナリングやろ？　だんごむしレースの金メダルやー」
「でも、サンマさんもけっこう追い上げてきたよ～」
「まだまだこれからだぜ！」
　マンボウくんの言うとおり、サンマさんも見事な追い上げを見せています。
　

　現在のメイン参加者順位　
　１位　ちか　２位　サンマさん　３位　碧南　４位　一馬＆絽紗　９位　瑠樹　

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