恵方巻かれレース！｜リアクション

恵方巻かれレース！

◎恵方へスタート！

「ほないくでー」
　頭につけていたゴーグルをすちゃ、と目に合わせ、ちかはごろごろ転がり始めました。
「加速、加速、回転や！」

「恵方巻かれレース、オレも頑張るマキー！」
　瑠樹は、体を曲げたりしてひょこひょこ進んでいきます。
「しゃくとりむーし、しゃくとりむーし……」
（他の人は邪魔しないよぉ。ぶつからないように気を付けるなぁ）
　その瑠樹の隣を、すごい勢いで転がる恵方巻きがありました。
「あっ、サンマさんだぁ……って、速ーい！？」
「ベイベー、優勝はいただくぜ！」
　元々細長い体型のサンマさんは恵方巻きになっても違和感がありません。
「サンマさん、すごいすごーい！」
（よぉし、オレも頑張るよぉー！）

「なんや、早いのんおるなー」
　ちかも、すごい勢いで抜いていったサンマさんに目を見張りました。
「よし、登りまでスリップストリーミングや」　
　ちかは、サンマさんの後ろにぴったりついて進むことにしました。
　マラソンなどのレースでもよく使われる手法です。
　サンマさんは後ろにくっついているちかにはまったく気が付いていません。

「苦しかったり、痛かったら言えよ！　とりあえず、……とにかく、進むからな！」　
「はい」
　一馬の焦りには気づかず、絽紗はおっとりと微笑みました。
（転がったら大塚を押し潰しちまう。上手くくねって進むしかねえな）
　一馬は、身体をうまく捻って腰と太股で這いずっていきます。
　趣味がボルダリングと筋トレであり、鍛え抜かれた身体を持つ一馬だからできる技です。
　絽紗は少し頬を染めながら、一馬のぬくもりを感じていました。
（すごい高峰君、動きがスムーズだし力強い……）
　あまり運動は得意でない絽紗には、一馬の運動能力は光輝いて見えます。
　そして勝負だけにこだわるのではなく、自分に気遣いを向けてくれることがとても嬉しかったのでした。

　碧南は大柄な身体を思い切り縮め、そして思い切り伸ばしてを繰り返して進んでいきます。
（なんとか進めるけど……これじゃやっぱり遅い）
　額に汗をかき、もどかしく思いながら前方を見ると、どうやら登りに入るようです。
「確かあそこからは腕を出して進めるコース……これなら匍匐前進で一気に距離を稼げる！」　

「長い物には巻かれろ！　です」
　と叫んで、クロセルは他のものより長い海苔の恵方巻きに身を包んでいました。
　しかし海苔が長すぎて絡まり身動きが取れず……
「あわわ、大丈夫～？」
　さらに、助けようとやってきたマンボウくんも絡まり、レース続行不能に。
「……きゅう」

　現在のメイン参加者順位　
　１位　サンマさん　２位　ちか　５位　碧南　６位　一馬＆絽紗　１０位　瑠樹　　リタイア　クロセル
　

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