地獄めぐリゾート　in 魔界｜リアクション

地獄めぐリゾート　in 魔界

■鬼退治

　白く長い髪に童顔、外見はいわゆる男の娘である夏神零は、宮司服にお祓い棒、懐にはお札という出で立ちで地獄の入り口を歩いていた。
「魔界？　地獄？　普段なら現世に魔物が出たりするが逆に呼び込まれたか……こちらも探す手間は省けたな」
　様々な醜い魔物に囲まれる中気にもせず空を見上げる。
　そこには『赤い月』があった。
　月をを見上げぼんやり呟く。
「満月には魔物も活発になるな……ふむ」
　神社に生まれ巫女も神主もする零は、武道全般、霊術の修行を仕込まれている。
　何者かが零に杯を差し出した。そこには泥水が入っている。
　零はスッとその杯を手刀で切断した。
「魔物の手ほどきは受けぬよ……」
　驚き怒る醜い魔物たちは、それを合図にしたように襲い掛かってきた！
　だが零は、構える様子すら見せない。
　ゆっくり歩きながら腕だけ縦横左右斜めに手刀を舞い、斬り開き歩く。
　悪鬼悪霊、魑魅魍魎は容赦なく倒されていった。
　
　青ざめた顔で手招きする美女がいた。
「ほう……美女も一応は居るんだな……まぁ罠への案内役でござろうが」
　美女の思惑をさらりと見抜きながら口にして、零は自分から地獄へ足を踏み入れた。
　様々な地獄の光景が広がっていたが、零は無表情だった。
　間も無く。
「シャギャー！」
　目に爛々と炎を宿した凶暴な鬼猫が現れた。
　鋭い爪と牙の攻撃をかわしながら零は嘯く。
「爪と嚙みつきのみか？　……以前は複雑な霊波動も絡めた攻撃する化け猫と対峙したが……」
　魔物退治の専門さながら危なげなく対等に戦う。
「せっかくだこいつの尻尾でも頂いておくか」
　分が悪いと見たか、鬼猫は尻尾を巻いて逃げ去って行った。
「次は何だ？　巨人のような獄卒か？　それとも閻魔でも出てくるか？」
　今やマジ地獄は、人の叫びや喚きの代わりに『鬼』達の叫びがこだまする地獄絵図となっていた。

「なんだか騒がしいな。都合がいい」
　サキリは、気絶した暗を背負い地獄を脱出しようとしていた。
　他の地獄も見て回りたいと歩いているとき、たまたま危機一髪の暗を見つけ救助したのだ。
　ちなみに幸せそうなネヴィアはスルーした。

「獄卒の刀は刃が鋭いと聞いたな試しに使ってみるか……」
　零は獄卒が落とした刀で、まだまだ鬼や魔物を退治するつもりのようだ。
　その時、何者かの声が響いた。
「やれやれ、えらいお客を呼んでしまった」
「そなたは……？」
　醜い鬼とは明らかに違う、威厳のある声だった。
「多少は覚悟しておりましたが、このままでは地獄の被害が甚大だ。今日のところはお引き取りください」
　零は、光の中で、体と意識が浮上するのを感じた……
　

　　　　　　　★　　　　★　　　　★

　皆も似たような感覚の中、無事元の世界に戻っていた。
　地獄で傷めつけられた者も、体や服には傷一つ残っていなかった。
　リゾートでの買い物の費用などは通帳から引き落とされることはなかったが、求めた商品は手元に残っていた。

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あとがき

担当マスター：天村花海
ファンレターはマスターページから！

ご参加ありがとうございました。
マジ地獄をどこまで描写していいのか？　迷うところでした。
読む方を選ぶ内容かとも思いますので、ご覧いただく際はご注意ください。
見出しの★がリゾート、■がマジ地獄となっております。

地獄で撮影された動画などは、個人では楽しめますが他人に見せようとするとトラブルが起こり見れなくなるようです。

皆さまは地獄と無縁の日々を過ごされますよう願っております。
覚悟完了の方は、それも一興。

それでは、フォンデュパーティのほうでまたお会いしましょう♪

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