地獄めぐリゾート　in 魔界｜リアクション

地獄めぐリゾート　in 魔界

　■地獄の明暗

　ジェットコースターから見下ろされているマジ地獄では。
　自称魔王の暗が、目の前の責め苦に慄いていた。
「これは……凄い地獄だな」
　先ほどの美女の顔は半分崩れ、美しさが不気味さを引き立たせる物凄い形相になっている。
　そして尖った針つきの靴で、四つんばいになったネヴィアを踏みつけている。
　背中から血を流して見るからに痛そうなネヴィアは、だが恍惚とした笑みを浮かべトリップしている。
「地獄……否、こここそが天国……のの……我が女神よ……！」
　ネヴィアの脳内には、自分を踏みつける美しき女神、野々ののこの姿が浮かんでいた。
「再び罵りにきてくださったのですね……」
（この痴れ者め）
　美しき女神はネヴィアを罵り、辱め、踏みつける。
　ののこに踏まれる度に、ネヴィアの身体には最高に感じる電流が走る。
　どんな責め苦も、彼の幸福を増すばかりだった。
　
「なんという責め苦……だ、だが俺には物足りない……どれも甘すぎて体験する気も起きん」　
（って言っておけば体験する事なく俺の偉大さを見せつけられるだろ）
　と、暗は虚勢を張り続けていたが。
「ご安心を」
　いつの間にか屈強な鬼たち二匹が暗の背後に立っていた。
「え、何だと？　……俺のために特別に超絶凄いのを用意してくれただと！？」
　腰砕けになりそうな暗の体を、二匹はがっちりと捕まえた。
「な……何、そこまで手間をかけさせるには及ば……」
　暗は絶句した。
　真っ赤に焼けた鉄の人形が目の前に運ばれて来たからである。
「『鋼鉄の処女』ご存知ですよね」
　なぶるように鬼は言った。
「……い、いや待て、それは……！　俺様が本気を出してしまっていいのか！」
　声がかすれ、裏返る。必死で振りほどこうとするも、鬼たちの腕はびくとも動かない。
　ギイイイ……
　不気味な音と共に鉄の人形が開かれた瞬間、暗の意識は暗転した。
　

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