this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
春色季節! 新作スイーツお披露目会開催中です!
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
…
7
つぎへ >>
その日はテスト返却日から数日後であった。
歩く男女は制服姿から学校からの帰り道だと一目でわかる。
共に歩いているといっても、少女は安堵に似た穏やかな雰囲気を纏いまっすぐ前を見ているのと反対に少年は両肩を落とし持ち上げる足も重たいらしく、二人の歩調は合わず間の距離はどんどんと間延びしていき、終いには少女――
椎井 莉鳥
の足が止まった。
振り返る。
莉鳥が止まった為に、少年――
北里 雅樹
は彼女に追いついた。その間の負け犬のようにとぼとぼとした歩みの様よ。その姿は誰の目から見ても大変に落ち込んで悲嘆し絶望に暮れている。
二人は、
幼馴染で、
元は恋人同士で、
今なお続く腐れ縁で。
「……なに一人で悲劇のヒーローぶってんのよ」
冷淡とも聞き取れる口調で言い放ったのは莉鳥。
対する雅樹は両手を組み、それを祈るような形で上へと掲げた。
「ギリシャ悲劇と言ってくれ」
「そんな高尚なもんじゃないでしょ」
儚い眼差しで失った明日を探す雅樹に莉鳥は左右に首を振った。
「シェイクスピアにも匹敵する愛と蹉跌と苦悩の壮大なドラマだとは思わんか」
解いた両手を体の横で大仰に雅樹が広げれば、
「思わない。手を抜いた罰が当たった、それだけの話じゃない」
少なくとも愛は無関係だろうと莉鳥は彼の訴えを払う。
「うぉぉぉぉ」と雅樹が大仰な動作で苦しみを吐いた。
「椎井にまで見捨てられたら俺はもう死ぬー」
「死ぬわけないでしょ。追試の勉強でもしてなさいよ」
そもそも雅樹は体育のテストでしくじっただけである。
追試と補習が必要になっただけで不景気に病気に災厄が降りかかったような意気消沈ぶりを発揮されても流石に困るどんびいてしまう。引き合いに出されたかの詩人もさぞ困惑するだろう。
「嗚呼、俺に夢も希望も無いのか」
「追試と補習ならあるわね」
「うぉぉぉぉ」と雅樹が身悶えた。「椎井が俺に追い打ちをかけるー」
頭を両手で掻きむしる雅樹。そのまま拳を胸の前で強く握り締めた。
「俺は今人生の挫折を味わっているというのに、同情する気持ちは無いのか」
「そうね何度目の挫折かしらね」
それは、慣れた掛け合いだった。
噛み合っているのか、噛み合っていないのか、よくわからない遣り取り。ただ、会話の、台詞の、言の葉の、着地地点は互いの真意を探らずともわかっていて、つまり、傷つけずに済む言葉選びができているというその安心感が、会話の継続を許していた。
どんよりとした縦線入りの落ち込み具合と苦渋に歪む唇から発せられるアレな台詞であっても、
絶対零度の視線と容赦ないツッコミであっても、
その噛み合わなさを。
二人とも楽しんでいるように。
ただ続けられていく。
そして、そうこうしている間にシーサイドタウンの駅ビルmiaoが見えてきた。
miaoへ寄り道をしようとどちらかが提案したわけではなく、言わば成り行きだった。
だから「新作スイーツお披露目会」の文字を雅樹が目敏くも発見したのは単なる偶然だった。
「なんたる天の啓示か」と絶望が払拭された顔で「行こうぜ椎井、新作がダダだってよ」と直ちに立ち直っていた。
即座に通常モードに移行され、莉鳥は思わず半眼になった。
ここは鬱陶しい現実逃避が終了し清々するべき場面なのだろうが、得心できない。
見事なまでのおバカな犬系男子の華麗なる復活に納得できない。
「……本当に立ち直りが早いのね」
「俺は過去を引きずらない男なのさ」
「少しは引きずれ」
……立ち直りが早すぎる。少しは再起動に手間取ったらどうなんだ。と、この道中丁寧に付き合っていた莉鳥はこめかみに痛みを覚えた。
際限なく落ち込まれるよりはマシだとも思う。思うが、元気が出てよかったとは素直に喜べない。
呆れて言葉もないとはまさにこのことだ。
肩を竦めて「早く行こうぜ」と雅樹はそんな彼女をせっつくように急き立てるのだった。
…※…
会場入口からご丁寧にもひとつひとつ丹念にブースを巡り、ふたりは多くのスイーツを試食した。
最初はショートケーキだったか。切り分けられた苺の大小で揉めかけたり、次に目をつけた苺ホイップのチョコレートケーキはそのくどさに意見が一致する。チーズケーキに、プリンアラモードは乗せられている果物の分量でこれまた揉めかけた。桜バウムクーヘンは綺麗なピンク色。定番のマカロンの新作は見事にパステルカラーで選ぶのに少し時間がかかった。
ああでもないこうでもないと真剣な表情で吟味する雅樹と、迷いながらも即決に効率よく試食する莉鳥。対照的な試食スタイルだったが、反発し合ったり合意しあったり、熱弁し、あしらわれ、時間はあっと言う間に過ぎ去っていった。
両手に抱えてちびちびとつまみながら雅樹。
「追試も補習も放棄しようかな。そうすりゃ椎井とまた同じ学年に……」
何気なく世間話のように振られた話題に莉鳥はそちらへと顔を向けた。
事情があって学年が分かれたふたり。このまま何もしなければまた同じ学年になれる。夢を語るように言われ、莉鳥は言葉に詰まった。
「バカなこと言わないで」
喉の奥から絞り出すような声で莉鳥は怒りを露わにした。
そんなこと例え軽口でも許さない。
「冗談だって」
前言撤回を訴えられ、雅樹は彼女のその真剣さから逃げるように顔を逸らして流してくれと請う。
そんな雅樹の前に莉鳥は回り込む。
「ちゃんと追試を受けて進級して」
普段は殆ど動かない表情が見せた莉鳥の切なげな懇願に雅樹は両肩を竦めた。
「わかったよ」
――わかったよ。
わかっている、ではなく、わかったよ。だった。
それは了承であり、また承諾でもあった。
何が彼をそこまでさせたのかは不明だがようやく現実を受け入れることにしたらしい雅樹に「冗談で覆さないでよ」と念を押すことを莉鳥は忘れなかった。
砂糖の甘い香りに包まれながら口に含んだフルーツケーキの酸味が爽やかで、確かに甘い食べ物は心の慰めにはちょうど良かった。
これで少しは気分転換でもできるだろうと莉鳥が視線を向けると、雅樹はショーケースの端から端と店員に試食をせがみ、飲み物を持参しなかったことを心底悔やんでいる最中であった。
「ばかね」
と莉鳥が零した安堵の吐息は周囲の雑談に紛れて彼の耳に届くことはない。
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
…
7
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
春色季節! 新作スイーツお披露目会開催中です!
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
保坂紫子
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年02月23日
参加申し込みの期限
2017年03月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!