推理ゲーム『ねこじま人狼』2nd｜リアクション

推理ゲーム『ねこじま人狼』2nd

●　占い師をめぐる主張

　次に皆の注目を集めたのは、丹羽紅葉と来島アカリの二人であった。
　どちらも、と天懸は言ったが、実際に占い師だと明言しているのは紅葉だけ。アカリは、島民か占い師のどちらか、と主張するに留まっている。

「私が直感ででっち上げた黒の丹羽先輩が占いで、そして、確定白の『志波』先輩を占った、かー。出来過ぎというか……２日目に吊っていいですか？」

　紅葉は笑顔を崩さないが、吊ってもいいかという発言に対しても笑顔なのは逆に胸の内が見えなくて、やや不自然に周りには映る。
　咄嗟に梢は申し訳なさそうに舌を出した。
「なーんちゃって、冗談ですよー。今は白と受け取ります。占い師はグレーのほうが良い、という考えは一貫してますので、暴いて申し訳ないんですが」
　持って回ったようないい方だが、要するに梢としては紅葉を信頼すると言いたいのだろう。紅葉は自然な笑顔を取り戻してそれに応える。

「ありがとう。改めて主張するけど、私は占い師よ」
　紅葉は堂々と言った。
「村の為に、占いで黒を引き当てられるよう推理するのが私の役目。最初に占った志波君は白だった。だから最初は島民と主張したの。騙り占い師が出ることを期待したし、らっかみの存在も怖かった。人狼が潜伏先としてらっかみを選ぶと、占いでは解らない。でも占い師を潜伏先として選べば私が対抗カミングアウトすれば島民の皆の判断材料が増えるだろうと思ったの。だから屋敷野さんが占い師だとカミングアウトしたとき私も正体を明かしたんだけど……まさか共有者が占い師を騙るなんて思わなくて」

「と言っても、クロもらいからの共有にシロ打つのは、なぁ？」
　天懸はまだ疑わし気に紅葉を見ている。
　だよな、と頷きアカリも疑いを口にする。
「共有のクロが占い師に刺さったってより狼に刺さって対抗したように見えなくもないんだよな」
「騙り占い師の出現を待ったために、占い結果を明かすタイミングを外したのは事実だわ」
「それはすみませんでしたねー」
　梢は肩をすくめる。紅葉は「それはもういいの」と微笑み、別の方へと視線を向けた。
「ところで来島君。来島君の正体は、本当は何なの？」

　アカリは口元に手を当てて「むー……」と唸った。
「ほかに占い師カミングアウトなしか？」
　全員を見回すが、自分が占い師だとカミングアウトする者はいない。
　アカリはそれを確認し、それから、また「むー」と考えたのち、
「……ちょっと待ってくんね？　全員が役職主張してから言うわ」
　と言って黙った。

　そんなアカリの目を見つめながら、紅葉は自らの考えを口にした。
「発言内容から私は来島君がらっかみじゃないかって推理している。最後まで選択肢から占い師を外さなかったのは占い師を確定させないことで標的をぶれさせる為。違うかしら？」
　アカリは黙って聞いている。紅葉は続けた。
「そうなると私の疑いの目は自然、卯木君、優木君へ行くわ。らっかみだという卯木君と、役職表明している優木君は狂人か狼……吊られやすさを考えると卯木君は狂人の線が強い……となると優木君、あなたが狼？」

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