【星幽塔】酒場にて　→飲む　→話す　→外に出る　→脱ぐ｜リアクション

【星幽塔】酒場にて　→飲む　→話す　→外に出る　→脱ぐ

　ジャジャーン！
　回田はつなはサジタリオの城下町に降り立った！

（なーんちゃって♪）
　はつなは内心ペロリと舌を出す。突然にこの世界に飛ばされて来たが、ゲームのような光景に彼女のテンションは上がっていた。
　周囲はまるきり中世風の街並、そこを歩く人々も様々な服装で。鱗の肌を持ったお姉さんがドレスを着て横を歩けばそれはテンションも上がるというものだろう。
　その上はつなの服もなぜかこの世界に溶け込むようなファンタジー風の衣裳になっていた。

（これから　勇者はつなの　冒険が　始まる　！）
　上がりきったテンションに、はつなは街中で思わずバッと片腕を挙げる。同時に彼女のろっこん＜物言う落花＞が発動し、ぶわわっとはつなの周囲に花が舞い散った。
「うわぁ～すごい魔法だ～！」
　近くを歩いていた女の子がその足を止め、はつなをキラキラと見つめる。はつなは照れながらも出した花を１輪、その子の髪にさしてやった。
「ありがとう、魔法使いのお姉ちゃん！」
　女の子はお礼を言って駆け出していく。
（そっか、ろっこんもこの世界では魔法みたいなものなのね～）
　何だかますますわくわくしながらはつなは街中を散策することにした。
（ゲームと言えば、街でのお買い物だよね～！）

　とは言えまずは懐を温めないと話にならない。はつなは近くの商店に飛び込んだ。
「すみません～、これって売れますか～？」
　店主に見せたのはビー玉とおはじきだ。以前祖母から貰った物を、たまたまそのままはつなは持っていたのだった。
　小さいガラスにキラキラした色を入れるという技術はこちらの世界では難しいらしい。店主は「まるで宝石のようだ」と絶賛し、たくさんのお金と交換してくれた。

　金銭の心配がなくなったはつなは思う存分城下町を見て回った。
　探すのは、可愛い物を売ってるお店。とにかくはつなの女の子センサーにびび～っと来たお店に、彼女は片端から入っていった。
「うひ～、可愛い～！」
　テンションが上がる度にろっこんが発動してしまう。その度に謝って片付けようとしたり、このまま店の飾りにするから花を置いてってくれと言われたり。この世界では、はつなのろっこんは素敵な魔法の１つと思われているようだった。

「うひ～、歩いたあるいた～。本当にゲームの世界みたい」
　たくさんの店を覗いて、はつなは十分に街を探索した。となると次にするのは。
「最後はやっぱり、お宿探さなきゃだよね。そうだ、西に行ってみようかな～」
　西にある空き屋通りが新規のお店で結構賑わい始めている、という話を店員から聞いていたはつなは、善は急げと街の西に行ってみることにした。