『向日葵』、雪遊び｜リアクション

『向日葵』、雪遊び

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少しずつ、太陽が西に傾いていく。
もう少し経ったら、日は落ちることだろう。
自宅の窓から、桜月は空を見上げていた。雪は、まだ降り続いている。
いつもなら散歩に行くところだが、雪道を歩くのは大変だ。
（無理にいく必要もないか？）
そんなことを考えながら、視線を空から下へと下ろす。
降り止まない雪に染まった雪景色が、視界いっぱいに広がっている。真っ白で、静かで、綺麗に染め上げられた世界。まっさらなノートのようにも見える風景。
この中を歩いたら、インスピレーションが刺激されるだろうか。こういう時だからこそ、浮かぶアイデアもきっとあるだろう。
ふと、そんな気分になった。
それに、と思う。これだけの雪だと、あのひまわり畑はどうなっているだろうか。
湧き上がった好奇心が、月の背中を押す。
『向日葵』へ、行くことにした。

ちょっとうさぎを意識した、白いブラウスに紺色のコルセットスカート。それを隠すような白いコート。白いストッキングに白いブーツ、白い日傘に白い手袋。
雪の中に溶け込んでしまいそうな、白づくめの格好で出かけることにする。
月の目は、綺麗な赤だから。ちょっと離れてパッと見たら、うさぎに見えるかもしれない。

外に出ると、やはりというべきか寒い。冷たく澄み切った空気が、服越しにも染みこんでくるようで。家の中との寒暖差に、月はちょっとだけ震えた。
このまま歩いていたら、ブーツを通して足先から冷たくなりそうだ。雪が溶け始めていないから、地面がひどいことになっていないのは救いだろうか。
ちょっと急ごう、と。月の歩調が、少し速くなる。