カルティック・レボリューション　武装カルタバトル！｜リアクション

カルティック・レボリューション　武装カルタバトル！

　そこには、先ほどより動かぬ少女の姿が一人。

　不審なものも、刀も感じていた。
　――八重崎五郎八。
　歌留多研究会、部長。
　先ほどから、あの場所から動かない。

　仙藤紫のように、生真面目なカオス嫌いなのか？
　
　――おかしい。
　
　咄嗟に札を一枚キャスト。
　刀の奥義、切り札を無造作に使用。　

『九死に一生を得る』

　先ほども都が使用した札。
　だが、刀の解釈は想像を絶する。

「古代日本神話において、イザナギがイザナミに許しを乞うた。
　九度黄泉平坂を往復し、ここに立つのは十度目。
　――そう、俺はこの戦い、九度経験した！」
　
　百人一首――日本独自の文化。
　だがそれとて『ますらをぶり』をよみがえらせるには至らなかった。
　真に国の魂が宿るのは、ほかならぬ『古事記』……。
　刀が、自らのよりどころとしたのは、日本最古の文学。

「九の死を経て、一の生を得る……」

　相手の手の内を見切り、その先まで読み取る、必殺の未来予知……。

　五郎八に向けられようとした未来予知。

　――だが、別方向から、より差し迫った脅威がある！
　咄嗟に対象を切り替え。危機の方向を感知する。
　龍を旋回させ、かろうじて躱す。

「『将を射んとせば先ず馬を射よ』。
　小萩の『ほん』に続き『じょう』です！」
　ここで言うのは騎馬ならぬ騎龍。
　ドラゴンスレイヤーが空しく宙を切る。

　刀に迷いはない。切り札を本意ではなく使用したが、出し惜しみのできる相手ではない。
　常に相手には全力。龍を駆り、天空を飛翔する。　

　
　――その時、不吉な　朱の色の天空に、不意にひび割れが走った。
　突き上げるような衝撃が、一同を襲う。
　地震……いや、これは時空の震え。時震。そして次元の震え。次震。
（円の札が、発動しようとしている！）

　勢い込んで、刀はラッシュ。
『光陰矢の如し』で逃走するいいなを追尾する。
　神速の上に神速をきわめた、超常の空中チェイス。