カルティック・レボリューション　武装カルタバトル！｜リアクション

カルティック・レボリューション　武装カルタバトル！

　それでも幸運に守護された都、即座に『九死に一生』でライフ回復。
　さらに『災い転じて福となす』で、幸運度のさらなる増加に勤める。

　――いや、痛いのはつらいけどさ……。

　頭をさすりつつ、都は札を掲げる。
　このまま幸運度が上がり続ければ、相手の自滅の可能性もある。
　紫に任せておいてもいい。

『開いた口に牡丹餅』
　
　蓄積した牡丹餅を相手の口に投入し、相手の札を読むのを禁止する。

　彼女の発生とともに、おびただしい牡丹餅が修に向けて飛来。
　彼の口が、瞬く間に塞がれて……。

　ぽた、ぽたぽた。

　急に牡丹餅が失速し、地面に落ちた。
　小粒な餅が一つ、都の口に飛び込んだ。

　――ああ……。来ちゃったか。

　妙に悟った表情で、都は牡丹餅を飲み込んだ。
　――まあ、そこはご愛嬌ってことで。

「これで決まりかな」修が言う。

　怪訝そうな顔を見せる一同に、修は一枚の札を提示する。

　――小倉山　峰のもみぢ葉　心あらば　今ひとたびの　みゆき待たなむ

　拾遺集より。もののあはれを貴ぶ価値観の中で、それでも自然の儚さを愛惜する。
　自然への愛と、人の願いのあえかさをともに歌う、哀調のある一首。

　修が引き出した効果は「効果反転」。相手の能力をわが物とする。
　さらに追加効果として、廃棄された場合、札が盤上に戻る。
　
　都の「ひたすら自軍の幸運を上げていくカルタ」にとっては、まさに天敵だった。

「自分の幸運を維持するのに懸命なカルタは、他人への対策まで手が回らない……」
　

　それは承知の上。すでに都が見切っていたこと。カルタで自分を表現し、思い通りの世界を描くという目的は、十分達成された。

「十分楽しんだし、ま、いっか……」
　痛いのはヤダな、と思いつつ都は両手を挙げ、相手の攻撃を甘んじて受け入れる――。
　――ちょっと待って。
　その時、紫が声を掛けた。
　一枚の札を掲げる。

『宝の持ち腐れ』
　効果：一枚の手札を強制的に廃棄。

　生真面目な紫、定石どおり、打ち消しを一つ仕組んでおいたのだ。

「ああ、いい手だ」修は笑って、カルタを廃棄所へ置く。
「じゃ、もう少し続けよう」
　そう決着を焦ることはない。
「何、楽しむ時間が増えたって思えばいいじゃねえか」
　サンマさんもニヤリと笑う。

「じゃあ、再開しようか……」
「札を買い占めるっていうのは、できねえのか」
「黙って。気が散る」

【第三回戦】

　○　八神修・寝子サンマ　－黒兎都・仙藤　紫　×

「何とか勝ったな」サンマが修に言う。「まあ、俺は何もしなかったけど」
　再び札に戻った「いまひとたびの」が、カウンターのない状態で発動し、都の幸運状態が解除。
　そこで勝負が決したのだ。

「ま、楽しめればよし」
　潔く言い放つ都に、紫も頷いた。
　
　自分の札を確かめ、修も息を吐く。まあ、満足するべきだろう。
　予感が正しければ、最後はこれまでとは違った戦いが始まる。