【お正月】寝子島神社に願いを込めて｜リアクション

【お正月】寝子島神社に願いを込めて

　純白のコートにセーターとミニスカート。タイツとブーツ。
　和服は帰ったら着るのだと楽しげにペガサスのぬいぐるみ――はやぶさと共にお出かけを決めた天馬ひびきは楽しげに歩み出す。
「おっしょうがつー♪　おっしょうがつー♪」
　るんるんと体を揺らしたてんまの鞄の中でぺがさすも楽しげにゆらゆらと揺れる。
　トレードマークとして付けたへあぴんは御正月だということで『門松』デザインをセレクトだ。
　和服を着て、お出かけの前に「島の神社にもってね、あはっ」と楽しげな彼女はまだ薄暗い神社の境内に足を向けた。
「はっぴー・めりー・にゅーいやー！」
　大晦日からの二年参りの続きで人影はあるが、まだまだ冷え込む時間だ。
　準備中の露店屋台や早めに経営を開始した屋台がちらほらと見える。冷え込む気候にふるりと震えたひびきは先ずはと手水をするぞと意気込む――しかし、冬の水は白い掌を氷の様に冷え込ませる。
「はうーっ、お水がちべたいっ」
　表情は思わず『＞＜』といった感じだ。ふると震えるひびきを見上げる様にはやぶさは寒い空気に鼻先を曝していた。

　

　ゆっくりと昇る日に合わせて拍手をパンパンと大袈裟な仕草で見せる。
「おはようございまあす」
　にんまりと笑ったひびきははやぶさを抱えて、人気ない境内で、からんからんと鈴を鳴らす。
　乾いた音と共に「今年もいっぱい良い事があるからねっ」と断言して見せる。
　えへへ、と笑う彼女は少しの間の後、更に華咲く様な笑みを見せ「うん、そうなの」と頷いた。
「だから頑張っちゃうの」
　やる気を見せる様にはやぶさを抱え、その片腕を『えいえいおー』と上げて見せる。
　遠巻きに境内の掃除をしていた神楽舞が彼女の様子を見遣るが、誰かと話して居るのかと微笑ましげに笑みを零し、そっと離れる。
　そこにある『ダレカ』と喋っているのだろう。無垢な瞳は楽しげに輝き、はやぶさをぎゅと抱きしめる。
「ありがとうなのよ。みんなにも、いいことありまくりにしよう！」
　頑張ろうね、と笑い掛けた彼女の話し相手は、ひょっとして―――……。

　膝の上に座ったはやぶさとも新年の抱負を話そうとひびきは小さなぬいぐるみに語りかける。
「はやぶさはどんなお話しを神様としたのかな？」
　膝の上のはやぶさに耳を傾け「ふむ」と悩ましげな表情をした後、「んーむずかしいかも？」と何処か困った様に眉根を寄せた。
「そっかそっか。いいコトだとおもうな～」
　流石と笑みを零したひびきははやぶさに凄いよとぎゅっと抱きしめた。
　もこもこの毛並みに、温かさを感じる。冬の寒さを吹き飛ばす様な温かいはやぶさにほうと息を付き、ひびきははっとしたように周囲を見回した。
「はやぶさ、見て。息が白くなるよっ！」
　ほわ、と吐き出す白い息が、何処か楽しくて、つい笑みが漏れだしてくる。
　はやぶさが息を漏らす事は無いが、それでも、一緒に白い息を吐き出した気がして少し心が躍った。
「あっれー？」
　晴れ着姿の野々ののこはベンチに腰掛けたひびきに気付いて駆け寄ってくる。
　相変わらずのハイテンションさは両者ともに同じ。
「あけましてーー「おめでと！！」」
　同じタイミングでの挨拶につい、笑みが零れて仕方がない。
　ぽつぽつと屋台が空き始めたという情報を耳にして、屋台に向かおうかとはやぶさを鞄の中へとそっと入れた。
「ホットココアが好きだけどフルーツもいいなあ。はやぶさはどっちがいいと思う？」

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