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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
ちいさなケンカ
絵理奈には
桜塚 絵理奈には、行きつけの本屋さんがあった。
大学院で地質学を学んでいる彼女は、その店で参考書や、時には漫画を買うのが日課だった。
店主のおじさんは、絵理奈が小さい頃からの知り合いでよく知る仲だった。
桜塚 絵理奈には、楽しみがあった。
行きつけの本屋に行けば、まだ見ぬたくさんの本が、彼女を待っていてくれた。
店主のおじさんも、絵理奈が来るのを待っていたかのようにたくさんお話をしてくれた。
でも、時々口うるさく説教じみたことを言われることもあって、
そんな時はちょっとだけ疎ましく思ってしまったりもするのだった。
桜塚 絵理奈には、悩みがあった。
25という年齢からは想像もつかないほど外見が幼く、子供にしか見えなかった。
身長は130もない程だった。
お酒が大好きなのに、おおっぴらに飲めないことが多々あるのも嫌だった。
大人に見られるにはどうしたらいいんだろうと、よく思うことがあった。
「今日はどんな本を買おうかなー？」
その日も気分良く本屋を訪れた絵理奈は、今日の気分に会う一冊を探し始めた。
「今日はなんとなく漫画の気分！ これだー！」
表紙をパッと見てインスピレーションで、本を手に取る。そのままレジへ持って行くと、いつものおじさんが笑顔で出迎えてくれた。
いつも通り他愛ない会話をしながら、お会計を済ませる。
別れ際、おじさんが不意にこんなことを口にした。
——まだ、彼氏さんはできないのかい？
「なっ、何言ってるのおじさん！」
——いつになったら、可愛い彼氏さんが出来るのかな。
「可愛い彼氏ってなに！？ なんで可愛さが最初に出てくるの！？」
おじさんが言うには、可愛い子同士で並べばお似合いだとかなんだとか。
「あ、あたしは別に可愛いとかそういうのじゃないから！ いつまでも子供扱いしないでよ！」
——ありゃ、そうなのかい。でもそれなら、もう少し大人な感じを出した方がいいかもねえ。
「……」
ぷるぷると、絵理奈の肩が小刻みに震えた。
我慢は、もう限界に来ている。
「人が気にしてることを次々と……」
絵理奈はバン、とレジのカウンターを叩き、身を乗り出して声をあげた。
「うっせー！ ばっきゃろー！ どっからどう見たって立派なレディーじゃない！！」
ぷっくりと頬を膨らませた絵理奈は、その後も次々とマシンガンみたいに言葉を発射する。
「だいたいおじさんね、デリカシーがないのよ！ レディーに彼氏のこととか簡単に聞いちゃいけないんだよ！？ あと今までも何回も子供扱いしないでって言ってるのに、いつになったら分かってくれるの！？」
そこまで一気に言うと、絵理奈はふと冷静になった。
怒りのピークが通り過ぎたのだ。
「あ……」
目の前のおじさんは、がっくりとうなだれてしょぼんとした顔になっていた。
——いままで、ごめんな……。
小さくそう言って、おじさんは店の奥に引っ込んでしまった。
「ど、どうしよう……ちょっと言い過ぎちゃったかな？」
途端に慌て出す。
困った絵理奈は「あ！」と何か思いついた様子で、店内を回りはじめた。なにかを、探しているような。
やがて目的のものが見つかったのか、絵理奈はそれを手に取って、再びレジへと向かった。
「おじさん」
呼びかけると、奥からおずおずとおじさんが出てきた。
「あの、これ……」
絵理奈はカウンターに、一冊の本を置く。
そこに書かれたタイトルは「ちいさなケンカを解決する5つの方法」という文字だった。
おじさんはそれを見て、ゆっくりと絵理奈の顔へと視線を上げる。
——おじさん、たくさんは知らないけど、ひとつだけ教えられるよ。
絵理奈が「なに？ なに？」と聞くとゆっくりとこう答えた。
——ごめんね、って謝るんだ。気にしてること言ってしまって、ごめんね。
桜塚 絵理奈には、いいところがあった。
たくさんあるんだけれど、その中のひとつは明るくて人懐っこいところだった。
絵理奈のその人懐っこさは、時として素直さを映すこともあった。
だから彼女はこんな時、しっかりとこの言葉を言えるのだった。
「ごめんね」
桜塚 絵理奈には、行きつけの本屋さんがあった。
大学院で地質学を学んでいる彼女は、その店で参考書や、時には漫画を買うのが日課だった。
店主のおじさんは、絵理奈が小さい頃からの知り合いでよく知る仲だった。
桜塚 絵理奈には、楽しみがあった。
行きつけの本屋に行けば、まだ見ぬたくさんの本が、彼女を待っていてくれた。
店主のおじさんも、絵理奈が来るのを待っていたかのようにたくさんお話をしてくれた。
でも、時々口うるさく説教じみたことを言われることもあって、
そんな時はちょっとだけ疎ましく思ってしまったりもするのだった。
桜塚 絵理奈には、悩みがあった。
25という年齢からは想像もつかないほど外見が幼く、子供にしか見えなかった。
身長は130もない程だった。
お酒が大好きなのに、おおっぴらに飲めないことが多々あるのも嫌だった。
大人に見られるにはどうしたらいいんだろうと、よく思うことがあった。
「今日はどんな本を買おうかなー？」
その日も気分良く本屋を訪れた絵理奈は、今日の気分に会う一冊を探し始めた。
「今日はなんとなく漫画の気分！ これだー！」
表紙をパッと見てインスピレーションで、本を手に取る。そのままレジへ持って行くと、いつものおじさんが笑顔で出迎えてくれた。
いつも通り他愛ない会話をしながら、お会計を済ませる。
別れ際、おじさんが不意にこんなことを口にした。
——まだ、彼氏さんはできないのかい？
「なっ、何言ってるのおじさん！」
——いつになったら、可愛い彼氏さんが出来るのかな。
「可愛い彼氏ってなに！？ なんで可愛さが最初に出てくるの！？」
おじさんが言うには、可愛い子同士で並べばお似合いだとかなんだとか。
「あ、あたしは別に可愛いとかそういうのじゃないから！ いつまでも子供扱いしないでよ！」
——ありゃ、そうなのかい。でもそれなら、もう少し大人な感じを出した方がいいかもねえ。
「……」
ぷるぷると、絵理奈の肩が小刻みに震えた。
我慢は、もう限界に来ている。
「人が気にしてることを次々と……」
絵理奈はバン、とレジのカウンターを叩き、身を乗り出して声をあげた。
「うっせー！ ばっきゃろー！ どっからどう見たって立派なレディーじゃない！！」
ぷっくりと頬を膨らませた絵理奈は、その後も次々とマシンガンみたいに言葉を発射する。
「だいたいおじさんね、デリカシーがないのよ！ レディーに彼氏のこととか簡単に聞いちゃいけないんだよ！？ あと今までも何回も子供扱いしないでって言ってるのに、いつになったら分かってくれるの！？」
そこまで一気に言うと、絵理奈はふと冷静になった。
怒りのピークが通り過ぎたのだ。
「あ……」
目の前のおじさんは、がっくりとうなだれてしょぼんとした顔になっていた。
——いままで、ごめんな……。
小さくそう言って、おじさんは店の奥に引っ込んでしまった。
「ど、どうしよう……ちょっと言い過ぎちゃったかな？」
途端に慌て出す。
困った絵理奈は「あ！」と何か思いついた様子で、店内を回りはじめた。なにかを、探しているような。
やがて目的のものが見つかったのか、絵理奈はそれを手に取って、再びレジへと向かった。
「おじさん」
呼びかけると、奥からおずおずとおじさんが出てきた。
「あの、これ……」
絵理奈はカウンターに、一冊の本を置く。
そこに書かれたタイトルは「ちいさなケンカを解決する5つの方法」という文字だった。
おじさんはそれを見て、ゆっくりと絵理奈の顔へと視線を上げる。
——おじさん、たくさんは知らないけど、ひとつだけ教えられるよ。
絵理奈が「なに？ なに？」と聞くとゆっくりとこう答えた。
——ごめんね、って謝るんだ。気にしてること言ってしまって、ごめんね。
桜塚 絵理奈には、いいところがあった。
たくさんあるんだけれど、その中のひとつは明るくて人懐っこいところだった。
絵理奈のその人懐っこさは、時として素直さを映すこともあった。
だから彼女はこんな時、しっかりとこの言葉を言えるのだった。
「ごめんね」
あとがき
担当マスター：
山中にいな
ファンレターはマスターページから！
参加してくださった皆様、ありがとうございました。
山中にいなです。
久しぶりのリアクション執筆なのですっごく緊張したんですけど、
皆さんの素敵なアクションに助けられながらどうにか形にできました！
近いうちか、また少し間隔が空くかは分からないんですけど、
また次のシナリオでお会いできることを、楽しみにしています！
山中にいなです。
久しぶりのリアクション執筆なのですっごく緊張したんですけど、
皆さんの素敵なアクションに助けられながらどうにか形にできました！
近いうちか、また少し間隔が空くかは分からないんですけど、
また次のシナリオでお会いできることを、楽しみにしています！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2016年03月04日
- 参加申し込みの期限
-
- 2016年03月11日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2016年03月11日 11時00分
