勇者オーディションIN寝子島！｜リアクション

勇者オーディションIN寝子島！

●
「『魔王に会いに行け』か。じゃあ、スタジアムに行けばいいのか？」
　星ヶ丘ホースクラブにて、まもるは至福のひと時を味わっていた。
　ポニテ大好き病を患っているまもるは、当然本物のポニーテールだって大好きである。
　しかも馬車に乗っている間は、揺れる馬の尻尾を見ながら。隣にはタルトがポニーテールを揺らして楽しんでいるとくれば、眼福どころか大量摂取で後日禁断症状に陥らないか不安になるレベルであった。
　もちろんＡのカードを選んだのも、馬の文字があったから！
「ううん、サン魔王はスタジアムから姿を消した演出をしていたから、一日占拠してるっていう市庁舎にいると思うよ？」
　梢と同じ結論に至ったタルトは、ひときわ豪華な布を掛けられた馬の背からオーブを取る。
「それより、ムッシュくん……馬のお尻見過ぎ」
　苦笑するタルト。まもるは視線をポニーテールから離さずに、あいまいに返事をする。
「僕というポニテがありながら、ムッシュくんたらそーゆー態度なんだー。ショックだなぁー」
「あ、これは違うって、誤解！」
　いじけて拗ねたフリをしたら、まもるから浮気現場を押さえられたような声が返ってきて、タルトは笑った。

　なお、Ａ－３はライオンの被り物をした園長さんが、背中にオーブをぶら下げていた。

●市庁舎での対決
『サッサッサッサ……』
　寝子島村役場あらため『市庁舎』と銘打たれた長の席には、ダークなオーラを巻き上げるサンマさんがふんぞり返っていた。
　バン！　と扉が勢いよく開く。タルトとまもるが踏み込んできた。
「口上はあとでとっておくけど、三つのオーブはもうそろえちゃったよ、サン＝魔さん♪」
『！？』
　一日魔王のサンマ。慌てて別の扉から隣の部屋へ移ろうとするが、扉の開かれたその先には梢がスタンバイしている。
「逃げてもムダですよー」
『！！』
　追い詰められた一日魔王。部屋の一角に後退るが、突如として高速で動き、三人の手を振り払って逃げ出してしまう。
　驚異的な身体能力を見せた相手に驚きつつも、サンマの立っていた場所にきらめく球体が落ちているのに三人は気づいた。

このページにイラストを設定する