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【クリスマス】星ヶ丘のホーリー☆ナイト
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寛美の姿に気がつくまで、誉はクリスマス・スタンダードをアレンジした演奏に没頭していた。
やはり、兄の奏楽を誘って良かったと思っている。奏楽と合わせるピアノの音が、一番自由で楽しい。誘った当初、戸惑っていたような奏楽だったが、今は彼も誉と互いを高め合うような音色を奏でていることも嬉しかった。
誉は聴衆と楽しさを分かち合うような音を目指していた。それこそクリスマスの精神だと思うからだ。
けれどふと、視線を上げたとき、高校の制服姿でちんまりと、それこそ借りてきた猫のようになって会場の隅にいる寛美に誉は気がついたのである。
――詠。
演奏に我を忘れるあまり脳内麻薬が出て、幻覚でも見たのかと一瞬思ったほどだ。
けれど見間違いではない。檻に入れられ大都会に連れ出された黒豹のように、彼女は身を小さくして会場から己の気配を消そうとしているようにすら見えた。
どうして彼女がここにいるのか、それはわからない。けれど、あまり楽しんでいるようには見えない。それは間違いなかった。
――うーん……少し恥ずかしいけど。
奏楽の技量は信頼している。演奏のパートナーが奏楽ならば間違いなく可能だ。ちょっと無茶振りになるが、楽団の技量から考えてもできると思う。
そう考えた途端、誉はもう行動に移っていた。すなわち、スタンダードナンバーの中間部をいきなり、かつて誉がその場で作詞作曲したあの曲へと変えたのである。
真冬の孤島、戦いのステージで歌った曲。ジャズの文法で組まれているがロック調でもある哀愁漂うナンバー。タイトルをあえてつけるなら、それは『ザ・レジェンド・オブ・ロンリー・ロンリー・ウルフ(孤狼伝説)』になるだろうか。
インストなので歌詞はないが、込めたメッセージははっきりとしている。自分は孤独なのではなく誇り高き孤高の狼である、非リアなのではなくソロ充なのである……鍵盤にそう歌わせるのだ。
つまらなさそうに窓の外を見ていた寛美が、はっと顔を上げるのが判った。
そしてようやく、ステージ上にいるのが誰か気づいたようだ。
寛美の視線と、誉の視線が一瞬ぶつかった。
誉は、笑顔を向けた。
なのに寛美は怒ったように、ふん、と横を向いたのである。
――彼女らしい。
誉の笑みは、曲が終わるまで消えることはなかった。
「おい、どこへ……」
「決まってるだろう?」
奏楽の足は、まっすぐに寛美の席へと向かっていた。
やはり気づかれていたか。内心誉は舌打ちする。
寛美は、野良猫が新参の猫を見るような目をこちらに向けているではないか。隙あらば飛びかかってくるような気がした。それとも一目散に逃げてしまうだろうか――。
ともかく彼女の警戒を解くべく誉は口を開きかけたのだが、それよりも兄のほうが行動は早かった。
「こんばんは。初めまして。誉の兄で、市橋奏楽といいます。いつも誉がお世話になっています」
いつか観た映画の執事のように、奏楽はやや仰々しい礼をして寛美を面食らわせる。彼は寛美にも誉にも口を挟ませず、
「誉はこんななので、色々大変かもしれないけれど……いい奴なのは、兄の俺が保証します。どうぞ、これからも宜しくしてやって下さい」
と手短に述べて、「どうだ?」とでも言うかのように誉に視線を流したのである。
「変な挨拶をするな」
奏楽を追い払うように腕を伸ばし、さらに無意識のうちに寛美をかばうような動きをして、誉は彼女を見た。
「……ったく……詠、その……気にしないでくれ」
「いやいや、気にしてくれて構わない」
「おい、さっさと向こうに行けよ」
「はいはい、邪魔者は早々に退散するとしよう」
奏楽は肩をすくめた。誉に邪険に扱われるのには慣れている。考えてみれば、普段他人にいいところしか見せない誉が、こういう反応をする相手は兄の自分だけだ。素顔を見せてくれているのだと、好意的に考えることにした。
「それじゃ、また」
そのまま奏楽は、寛美の返事も聞かないでふたりに背を向けた。
いわば、あれだ。
後は若い二人に任せて……というやつだ。
なら自分は将来をみすえて、楽団の人たちとでも話すとしよう。
兄の背を見送って、少々、誉はばつが悪そうに自分の後頭部をかいた。
「ええと……詠は、一人で来てるのか?」
やっと話す気になったのか、不機嫌な子どものような声で寛美は短く返す。
「まあな」
どうして船にいるのか、という事情を詮索するのは歓迎されまい。だから誉は前だけ向いて言う。
「だったら……、一緒に食事にしないか」
「さっき済ませた」
おっと。
「はっきり言って、俺はここに不似合いだ。……どうせロハでもらった券だ。適当に岸に近づいたところで降りる」
無料(タダ)を今どき『ロハ』なんて表現する妙な言語感覚もまた寛美らしいところだ。
それはいけない――誉はそっと彼女の前に回って、
「じゃあ良かったら、腹ごなしに踊ってみないか?」
えっ、と寛美が意外そうな顔をするのがわかった。長い睫毛、黒みの多い綺麗な瞳、こうしていると彼女は、お忍びで船を訪れた異国のプリンセスのようにも見える。
ただ、彼女は「喜んで」と長い白手袋をはめた手を差し出すかわりに、やや床に視線を落としてどこか寂しげにこう言うだけだった。
「そういうの、よく知らねぇんだ。悪ぃな」
「いや……嫌ならいいんだ」
もう一押し、するべきなのだろうか――誉にはわからない。
彼が固まったのを察すると、じゃあな、と寛美はその場を離れた。
去り際、
「演奏、悪くなかった」
とだけ、そっと告げてくれたのが、誉にとっては救いだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
62人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月09日
参加申し込みの期限
2016年02月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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