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【クリスマス】星ヶ丘のホーリー☆ナイト
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昼と夜の狭間を人は宵闇と呼ぶ。
青でも黒でもない菫色の空の下、艶やかな鯨のようなものが、その巨躯からすれば驚くほどの優雅さとともにゆっくりと、星ヶ丘マリーナから滑り出た。
それは船だ。船体に刻まれた名は、宵闇のかすかな明かりの元であっても読むことができよう。
『夜の女帝号』、とある。
だが船はむしろその英名、『ナイト・エンプレス』のほうで知られていた。
彼女は、その名にふさわしい絢爛さを身につけている。船の外装は1950年代の豪華客船をイメージしたもので、内装もその雰囲気を今に伝えているといえよう。とりわけ、大広間を見おろす巨大シャンデリアは船の代名詞的存在とも言えるほど名高いものである。
されども頂点を極めた者がしばしばそうであるように、夜の女帝にもどこか哀しさがあった。咲き誇った花はいずれ散らなければならない。絶賛を浴びながらも心中、迫り来る老いの足音を聞く大女優のように、船はかすかなはかなさを秘めている――そんな印象を
市橋 奏楽
は持った。
それゆえ、いまステージ上にあって鍵盤を叩く奏楽の指は、メジャーコードであろうと、そこに少しだけ寂しげなエッセンスを加えているのだった。
音楽家は言葉がなくても、音だけで会話するものだ。
市橋 誉
は兄の意向を汲み取って、兄の描く音色を活かした即興演奏に入った。
――挑もうというのかい? いいだろう。
受けて立つ、と奏楽は誉の即興を受けてさらにこれを発展させる。
奏者はふたり、ピアノは、一台。
このとき市橋兄弟は肩を並べ、ジャズピアノの連弾という珍しいメニューを披露しているのだった。船上で開かれているクリスマス・ディナークルーズ、その楽団のメンバーとして。
クルーズに参加しないか――そう誘ってきたのは誉だった。ピアニストのオファーが入ったのだと。
正直、奏楽は少し迷った。
弟にピアノを教えたのは自分であり、始めた年齢からしても自分のほうが先輩である。けれども奏楽は誉の才能を見抜いていた。誉に比べると我が身は非才、せいぜいが秀才止まりだ。誉が虎とすれば、自分は猫のようなものだろう。無論、猫は猫の強さがあるとは思うのだけれども。
もう技術も表現力もとうに誉に抜かれてしまった。そればかりか誉との差はさらに開いているのではないか、遅かれ早かれ置いていかれるのではないかとすら奏楽は思っている。
それでも誉と一緒に演奏することを奏楽が選んだのは、自身を試してみたかったからだ。
ピアノを続けると決めたときから、決して折れないと奏楽は決めていた。
その覚悟を確認しピアニストとしての自分の現在を知るのに、絶好の機会ではなかろうか。
この夜、一台のピアノを肩を並べ弾くといういわば真剣勝負のスタイルにしたのは、奏楽からの申し出だった。
軽く本筋を外れた誉のアドリブ演奏は、奏楽の軌道修正どころか突き上げを受けてさらに飛躍した。ジャズの基本は外していないものの、抜き身のナイフで切り結ぶようなスリリングな展開へと移ったのだ。
いつしか音楽は8ビートの、まったく別のナンバーへと表情を変えている。奏楽の知らない曲だった。誉のレパートリーを考えてみても思いつかない。とすれば新曲か。
――それも悪くない。
我知らず奏楽の口元には笑みが浮かんでいる。この楽曲をリードするのは市橋兄弟、ゆえにドラマーもウッドベーシストもサックス奏者も、兄弟の奔放な演奏に必死で追いすがっているのがわかった。彼らには悪いが気分はいい。
胸に熱いものがこみ上げてくる。アドリブこそはジャズライブの醍醐味、スタンダードを楽譜通りに弾いても面白くもなんともない。もっと自由に、野生の馬のように駆け巡ろう。
しかし奏楽の野生を、誉がカウボーイのように捕まえに来ていた。そればかりか誉は奏楽にひと鞭くれて、さらに過激な即興を引き出そうとしてくるではないか。ほとんど無茶振りのように。
けれど楽しい。
もう奏楽の頭から他の奏者への配慮は消えていた。聴衆はあっけにとられている様子だがそれで構わない。鍵盤に指を踊らせ、ほとんどファンクのように情熱を音に叩き込む。
ただただ、楽しい。
自分を試す、そんなこだわりもいつしか、奏楽の心からは消えている。
楽しいから弾く、それだけだ。
誉と奏でる音楽はひたすらに楽しい!
そうだ。この感覚は子どもの頃から変わっていない、
誉も同じ気持ちだろ? そう呼びかけるように奏楽は黒鍵と白鍵を叩き誉を見た。彼が笑み返すのを期待して。
ところが誉は奏楽を見ていなかった。目まぐるしく腕と指を動かしながらも、彼の眼は客席のある一点に注がれていた。
誉の視線の先には、一人の少女の姿がある。日焼けした健康そうな肌の色、豹のように美しい顔立ち。きっと活発な娘であろうに、今夜はなんだか身を小さくしている。それもそのはず、着飾った客ばかりの中でただ一人、彼女は寝子高の制服姿なのである。うっかり普段の格好で来てしまったのか、それとも、正装らしいものはあれしか持っていないのか。
あれが噂の噂の
詠 寛美
ちゃんか――すぐに奏楽は理解していた。
居心地悪そうにしている彼女に、ちょっと念を送るとしよう。
もちろん、音楽家ができるやりかたで。元気になれるよう、想いを込めて弾くのだ。
フィギュアスケーターのフィニッシュよろしく曲が孤を描いてぴたりと終わると、夢から覚めたように客席から拍手が湧き起こった。
「ありがとう、いい演奏になった」
席を立つと誉は奏楽に顔を向けるが、今度は奏楽のほうが、誉を見ていなかった。
「ちょっと変わった感じだな……」
奏楽の視線は、さっきまで誉が見ていた方向に向けられている。すなわち、詠寛美に。
「それはどういう……?」
「いや、悪くないよ。むしろ、すごくいい」
「……さっきの曲の話だよな?」
「なんの話だと思った?」
奏楽はふっと笑むと、行こう、と誉の手を引くようにしてステージから降りた。
ここで休憩だ。
「おい、どこへ……」
「決まってるだろう?」
奏楽の足は、まっすぐに寛美の席へと向かっていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
62人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月09日
参加申し込みの期限
2016年02月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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