【クリスマス】星ヶ丘のホーリー☆ナイト｜リアクション

【クリスマス】星ヶ丘のホーリー☆ナイト

　やはりコンサート終了後、アネット･ガトパルドはガラス工芸品のところに来ている。
　終わった。
　心地よい疲労を感じる。それは充実と同意義だ。
　――それにしても……。
　ステンドグラスやガラス工芸品の色彩は、アネットにはどうしても、ある人のことを思い起こさせる。
　それは、彼女の母親。
　派手好きな母、大嫌いな母。
　けれどもクリスマス・イブは赦しの日でもあるはずだ。
　アネットは静かにため息をついた。
　今夜ぐらいは特別に、いつも彼女が待つ暖かい家へ、まっすぐ帰ってもいいような気がした。

　椿美咲紀もそっと、写真を撮影したときに見つけた像のところに戻ってきた。
　ガラス工芸品。ガラスで作った、イエス・キリストの像。
　『彼』は穏やかな表情をしていた。
　あたりをうかがい、人の目がないことを確認すると、囁くように美咲紀は像に話しかけたのである。
「お誕生日おめでとうさまなのです。神様、もっと写真を上手に撮れるようになりたいとお祈りしておきますです」
　――神社の娘だけど、これくらいは許してもらえるよね？