this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【クリスマス】星ヶ丘のホーリー☆ナイト
<< もどる
1
…
12
13
14
15
16
…
50
つぎへ >>
空の見えるデッキまで来たときには、周囲はすべて夜の海だった。
船が立てる波はコールタールのように黒いが、船を覆う勢いで、白い綿雪が舞っていた。
維都月怜は苦いワインをあおって、すぐにまたグラスに赤い液体を満たした。
吐く息が白い。手が凍える。コートは階下だ。
けれども戻る気は彼にはない。軽快だがプログレッシブな旋律を持つジャズが、隣室から漏れるテレビの音程度に聞こえていたが、やがて小休止にでも入ったのかすっと絶えた。
グラスにも、ワインボトルにも雪が落ちていた。
そういえば、これほどの雪を迎えるのは、彼が寝子島に来て初めてである。怜は空に手をかざして、舞い落ちる堕天使の羽根のようなものを眺めていた。
たしかここはスター・デッキという名前だったはずだ。皮肉にも星はひとつも見えないが。
お父様、という言葉すらなく、維都月茉菜が黙って階段を上がってきた。冷気が入るのか、コートの合わせ目を手で押さえていた。
茉菜は、黙って夜の空を見上げた。
やはり、何も言おうとしない。
もし彼女と向き合う機会があるのだとすれば――怜は思った。
それは、今ではないか。
雪がデッキに着地する音が聞こえるほどに閑かななかで、怜はおもむろに口を開いた。
「仕事は、順調だ」
ぽつんと投げ出すように告げる。独り言のような口調で。
「しかし、知らない差出名からの書類封筒が届けられた」
彼は娘の反応を待たなかった。様子をうかがうことすらしない。ただ雪の中、話すことだけに集中していた。
「……それには、私の仕事で足止めをしたい相手、厄介で以前から警戒していた社名の弱みが多数したためられていた──敵対視している者の罠にしてはそれは余りに詳細だった。素晴らしい情報屋の手腕だ」
話すうちに寒気を感じ、怜はワイングラスをまた一息にあおると、両手に温かい息を吹きかけた。
「それを使わない手などなかった」
怜はもう一度ワインボトルを傾けたが、もう血の色の液体はほとんど残っていなかった。
そうして、
「だが、私に敵はいても味方はまだ少ない。まさか……あれは、お前が手を回したのか?」
怜はついに、茉菜を真正面から見据えたのである。
茉菜は目を逸らした。
コートの合わせ目に当てた手に、ぎゅっと力を込める。
雪が降る。
雪が、降る。
茉菜と怜の間に。それが時間の流れが在ることの唯一の証明であるかのように。
沈黙に耐えきれなくなったのは、怜のほうだった。
「茉菜……今さらかもしれんが……」
言いかけたところで手が滑り、ワインを半分ほどたたえたグラスが手すりに当たって砕けた。
音は静電気程度しか立たない。
といっても怜の足元には、毒々しいほどに赤い染みが大きく広がった。
茉菜はまだ言葉を発さない。
けれども、静かに笑みを見せた。
――たしかに、それは私が人にお願いしたものだ。
茉菜は言葉にしない。
――私が、最初からいなければ。……父は憎いけれども、寝たきりだった私を生かすために払ってきたその代価だけは余りにも酷いと思えたから。
言葉にはしないが、いま一度怜だけに向けたその視線で、その頬のこわばりで、すべてを説明している。
最初、父のことをあざ笑っていた茉菜がいた。
だが時の流れは怒りや憎しみとは異なる情を、彼女の中に生み出していたのである。
――せめて会社だけでも、お父様(あなた)が自由であった頃に戻してみせる……そう考えたから。
この変化の理由は、茉菜にもわからないことだ。
もれいびという存在になったからかもしれない。
そうでなくても寝子島に来て、身体が軽くて自由に動く、今のうちに、と思ったからかもしれない。
しかれどもそんな中、怜は茉菜の瞳の中に『死』の存在を読み取っておののいた。
こう言っているのだ、彼女は。
また動けなくなる時が来るのなら、今度はあっさり死にたいな、と。
一度死の淵を覗いたからこそ、できる覚悟であり眼差しなのであろう。
だから──手段なんか選ばない。
それが茉菜の意志だと、怜には思われた。
怜は首筋が粟立っているのを感じた。腕も。
――茉菜にはすべてが、手段に見えているのか? かつて、私がそうであったように……?
いや、違う――怜は即座にその考えを打ち消している。そのように単純なものではない。
決して表に出すことはないが、彼は本能的に女性を恐れていた。かつて茉菜の母に見たたものを、いま、彼はその娘に見出した気がする。
あまりに恐ろしくて、それゆえに、愛さずにはいられないもの。
脆(もろ)キ者ヨ、汝ノ名ハ女ナリ――。
いつしか怜は両手を広げていた。
そうして、娘の体を腕(かいな)に抱きしめていたのである。
「間違っていたのなら許してほしい。だが、もし死ぬことを考えているのだとしたら……」
それは……と口をついた言葉は、怜自身、予想だにしていなかったものだ。
「それは、私が許さない」
茉菜は、回された腕を拒まなかった。
死にたくないな――少しだけ、そう思った。
<< もどる
1
…
12
13
14
15
16
…
50
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【クリスマス】星ヶ丘のホーリー☆ナイト
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
62人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月09日
参加申し込みの期限
2016年02月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!