スキー＆スノボ教室！｜リアクション

スキー＆スノボ教室！

○スキー準備

　その後、引率の先生がマイクを受け取り、クイズや伝言ゲームで盛り上った。
　それが一段落したころは、バスはもう山道に入っていた。
「うっひゃー！　雪！　雪だー！　すごい！　全部真っ白だよー！」
　犬耳帽子をかぶった、中学３年生のパトリシア・プロウライトが声をあげた。
　トンネルを抜けた先は、雪国だったのだ。
　パトリシアはスペイン出身だが、母の仕事の都合でずっと日本で住んでいるので、かなり日本人くさい。
　やがてスキー場が見えてきた。
　
「やほー♪」
　バスから降りるなり、パトリシアは山に向かって叫んだ。
　２年ぶりの雪山にテンションが上がっている中学２年生の篠原翠響も、これにはちょっと驚いた。
　パトリシアは翠響に気づき声をかける。
「だってほら、山だよ！　山と言えば！　Yahho！　ヘイ、セイ！！　りぴーとあふたーみー！　YAHOO！」
　テンションが高く、奇声が多いのは、お国柄なのか、単に今時の女生徒だからとも言えるが。
「やっほー♪」
　翠響もつられて声を出し、二人は顔を見合わせて笑った。
「スキーって凄いよね、しゅってずばーっていくもんね！　パティさんも上手く滑れるかな！？　かな！　ちょー楽しみにして来たんです！」
「あたしはスキーは小学校６年の時に家族旅行で長野へ行って以来。今年はスノボに挑戦するの」
「スノボもかっこいいよね！　スキーができるようになったらパティさんもスノボ挑戦したいです！」
　年の近い二人はスキーの話で盛り上がり、はしゃぎながら一緒にウェア選びに向かった。
「あたしは暖色系のものが好みなのよね。でもって可愛らしいのがあればそれも着たいな。これとこれと……」
　翠響は暖色系を中心に選び、試着を始めた。スマホで自撮りも忘れない。　
「あっ、それ、カワイイね！　私もそれがいいなー、色違いのってあるかな？　かも！　探す！」　
　パトリシアは翠響と同じデザインのウェアを探す。
「見て見てー！　どう？　似合うかなっ！」
　はしゃぎながら体に当て、くるくる回ってみる。
「いいね、試着しちゃったら？　一緒に写真撮ろう！」
　翠響とパトリシアは仲良く写真に納まった。
「わー！　ブーツ重い！　歩きづらい！　これ本当に大丈夫ー！？」
　ブーツを履いてみたパトリシアが声を上げる。
「慣れるまでは重いかもね。でも滑ってるときは重さは気にならないから」
「そうなんだー」
　翠響の言葉にパトリシアは安心した。

「帽子はできればお気に入りのこの帽子がいいなー。ねえマルク」
　パトリシアは、翠響が着替えている間に自分の犬耳帽子に向かって話しかけた。
　ろっこん『いつでもいっしょ』が発動する。
「寒いから嫌だ！　ざけんな！」
　しかし帽子に宿った人格、マルクの返事はつれなかった。
　パトリシアはしょんぼりする。
「ぐぬぬ。しょーがないから、マルクはパティさんの勇姿をばっちり見ているがいいのですよ」　　
「お待たせ。そろそろお楽しみ会の時間ね、行きましょう！」
　ウェアを脱いだ後もテンションはそのままで翠響が戻ってきた。
　二人はお楽しみ会をノリノリで楽しんだのだった。　

このページにイラストを設定する