落葉の季節――男たちの秘密！｜リアクション

落葉の季節――男たちの秘密！

☆再び天道商店

　旧市街、天道商店。
「ええ、さっきズレていたのもこのグッズですよ〜」
　友達連れでやってきた朝の老婦人に、パーティグッズのカツラをかぶった記士郎は説明していた。
「あら、そうだったの。てっきり……おほほ、いえ、そうじゃないかと思ってたんですよ」
　生暖かい視線に耐えるのも仕事のうちである。

　お客が帰ると、記士郎は自分の髪のカツラから数本を束ねて切り取り、和菓子と共に仏壇に供えた。
「じいちゃん、なんとかもう少し先まで待ってくれませんかね」
　別に髪の毛にこだわりがあるわけではないけれど、なければ寂しいし。
「そういえばテオも同じ状態なのでしょうか。猫は人より大変そうですね」

　夕方。気が付けばカツラだったものはいつのまにか自分の髪に戻っていた。
「戻りましたか、よかった」
　仏壇に手を合わせながら記士郎は思う。
　いつか実際に髪と別れることになる時、今日のことを思い出すだろうか。

　ヅラ疑惑のせいか、その日は売り上げが少し多い気がした。
「これ、明日もかぶったほうがいいんでしょうかねえ」
　パーティグッズのカツラを手につぶやく記士郎だった。　

このページにイラストを設定する

あとがき

担当マスター：天村花海
ファンレターはマスターページから！

皆様、勇気がいるシナリオにご参加ありがとうございました。
第一稿ができあがったら文字数が９６９６で、笑ってしまいました。
カツラがバレてしまった皆さんも、無事元に戻っています。

書いていて凄く楽しかったです。
遅筆な私が書くのをやめたくなかったほどです。
ハゲに悩んだこともないのに失礼なシナリオでごめんなさい。
白髪を笑う人はいないのにハゲは笑われる、人生はなんと不条理なものでしょうか。
願わくば皆様の頭髪ライフが輝かしいものでありますように……いや、輝かなくていいですね（汗）

それでは、またのご参加をお待ちしております。

↑ページトップに戻る