落葉の季節――男たちの秘密！｜リアクション

落葉の季節――男たちの秘密！

☆屋上のランチタイム

　ランチタイム。
（あーそういえば今日は屋上で弁当食べようって約束してた、ピンチ）
　刀は友人たちをなんとか思いとどまらせようとした。
「今日は風も強いし、屋上は今度にしよう、な？」
　しかし、結局賛同を得られず屋上へ行く羽目になってしまった。　

　羽生碧南は、友達と屋上でパンでも食べようと上がってきた。
「体育の授業すごかったよ、男子のカツラ……」
　サッカーを見ていた友人の話に笑いそうになった時、隣の刀たちが目に入った。
「こっちが良いよ」
　風が来ないほうへと、物陰や人を利用して強引に移動する刀。
　連れの女の子たちが、落ち着いて食べたいと文句を言うが。
「バカ野郎！　風で弁当に埃が入ったらどうすんだ！」
　言いながら必死に頭を押さえている。
「あれって……だよね？」
　友人たちが碧南に目配せする。
（ガン見しちゃダメ、笑っちゃダメ……！）
　必死に耐える碧南だが。
「くそっ！」
　とうとう風でズリ落ちかけたカツラを押さえ、刀は【加速】して逃げた。

　そこへ、信彦と明里がやってきた。
（シリコンネットと二重カツラの威力は風なんかに負けないのさっ）
　サッカーの授業を凌ぎきり、安心して誘ったらしい。
「風がすごいつよいなの」
　明里はあまり気にせずついてきた。
「風がつよいときはスカートはためくのもとーぜんだよね～」
「うんうん、大丈夫あかりんのスカートは俺が守るさっ」
「あれ、信彦君、襟にほつれ糸があるよ」
　親切にも明里は糸を引っ張った。
　ばさり。
　シリコンネットと共に、一気にカツラが落ちた。
　下のカツラもズリ落ち、信彦の頭がまばゆい光を反射する。
「……！！」
　笑顔を凍り付かせた信彦の口から、声にならない悲鳴が漏れた。
「あ、ありゃ、これ天使のロックだったなの。信彦君も一気に進化だね！」
　無邪気に言い放つ明里。
　善意は時に残酷であった。

（どうしよう……もう笑いがこみあげてここで爆発しちゃいそう）
　全校集会に続いてここでも忍耐力を試される羽目になる碧南。
「あ、ああ……スキンヘッドにイメチェンしようかと思ってね。いやあ、やはり輝きって隠せないもんだね。ちょっと髪直してくるよー」
　笑顔で言い放ちつつ、信彦は物陰へフェイドアウトするのだった。
　

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