落葉の季節――男たちの秘密！｜リアクション

落葉の季節――男たちの秘密！

☆猫鳴館

「ヅラだ……」
　朝起きた握利平は、自分の頭からずり落ちた髪の毛を手に固まっていた。
「どうみても俺の髪型そのまんまのヅラだ……」
　そしてさっきから頭がスースーする。
（見るのが怖えが、確認しとくか？）
　利平は、廊下に誰もいないのを確認し共同の洗面所へ向かった。
「鏡よ鏡よ鏡さん、猫鳴館で一番ハゲしいのはだ～れだっ？」
　鏡を覗き込んだ利平は、そのまま絶句した。
「……俺だった……orz」
　だが基本ポジティブな利平、そのままカツラを頭に戻してつぶやいた。
「ま、アレだ。ヅラとセットって事は神魂のせいだろうし、例によって一日で消える……よな？　だよな？」
（とにかく今日一日ヅラで過ごす位、なんでもねーだろ）

「さーて、学校行くか」　
　支度を済ませ利平は猫鳴館を出た。
「ん、ちょい風が強いか？」
（ま、オーダーメイド、つーか自前のヅラだし、こんぐらいで飛ばねーだろ）
「きゃあー！」
　学校へ急ぐ利平の後ろから、風と共に女子の悲鳴が聞こえた。
（ん？　今の恥じらう様な悲鳴。そしてこの風。違いねえ。捲れた。捲れたんだな？　ならば簡単だ。俺のすべき事はシンプル極まりねえ。振り向くんだ。風よりも早く。光の速さで振り向くんだ）
　文字にすると長いが、この間時間にして０．０５秒である。
　とにかく利平は即座に振り向いた。
　しかし。
「ん？　なんだ？　見えねえ！」
　なんということか、彼の視界は黒い髪に覆われていた。
「前髪が邪魔で……Σ！」
　が、すぐに利平は間違いに気づいた。
（馬鹿野郎。今日の俺は何だ？　そう、ヅラだ。
　これは前髪じゃねえ、そもそも俺の前髪は目にかかるほど長くねえ！
　これはそう……
　う　し　ろ　が　み　だ）
　風に煽られ、利平のカツラは前後が逆転していたのだ！

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