【お三夜】猫とネズミの運動会、お三夜さま御用達チーズをかけて｜リアクション

【お三夜】猫とネズミの運動会、お三夜さま御用達チーズをかけて

　弥次郎は最初のうちは見つからないのが第一だと慎重に進んでいたが、だんだんコソコソするだけというのも面白くないと思い始め、ここは一丁猫どもを驚かせてやろうと、杜の湯を目指す事にした。
　杜の湯までは狭い通路や物陰を通って移動する弥次郎。そうして出来るだけ自分の身体を汚していく。
　ようやく杜の湯が見えてきたその時、弥次郎の目の前に目の周りに大黒ぶちの三毛猫が姿を表し、その進路に立ち塞がった。
　体格差から言って、弥次郎が正面からこれを突破するのは難しいように思われた。　

「お三夜さまに挨拶するから、身を清めにきたでチュウ！」

　即座に弥次郎はそう三毛猫に言った。
　三毛猫は訝しげな表情を浮かべ、汚れた弥次郎を見て、少し考えたようだったが、どうにか弥次郎の言葉を信じたのか、渋々そうにゆっくり動くと道を譲った。

「うまく行った！　チュッチュッチュ！」

　三毛猫の横を通り過ぎた弥次郎は、笑い声をあげながら杜の湯に入ると、まっしぐらに湯気の立ち上る湯船に飛び込んだ。