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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
【お三夜】お三夜迎撃準備！ と書くと過激ですが要するにですね
アクセサリー売り場で楢木春彦が見つけたのは、ちょうどいいサイズの革製のブレスレットだ。
ラムレザーだろうか。赤×茶の二重巻きで、軽いがしっかりと編み込まれている。銀のプレートが付いており、プレートには、小さくネコの模様が彫り込まれていた。
「これ普段使いによさげじゃん？」
春彦が訊くと篠崎響也はうなずいて、
「へぇ、いいな。似合う」
と微笑した。
アクセサリー、とりわけブレスレット類は身につける相手を選ぶ。野暮な人間が身につけようものなら、それこそ、とんでもなく下世話になりかねない。けれども都会的でありながらどこか、男っぽい野性も感じさせる春彦なら、まさしくぴったりのアイテムのように映った。
「よーし、なら買うとするか」
こちらはそれほど高級品ではないものの、月水金だけ食パンオンリー予定だった春彦の来週のランチ環境は、どうやらウイークデー全部がそうなりそうな気配だ。
「俺はどうするかな……あまりにも可愛すぎるデザインはちょっとあれだしな」
対抗するわけではないが、響也もピアスを探すのだった。シンプルだけど、自分らしいデザインのピアス……。
「これにするかな」
偶然、手が触れたものをしげしげと響也は眺めた。形状はごくシンプルできれいな銀色、しかし真正面から見たら、嫌みにならない程度に猫の形になっている。猫の目の部分は海の底のような深い青だ。
「お、いいの見つけたな」
春彦が顔を上げると、
「おう、俺も見つけたぜ！」
魚類と目が合った！
「あんたたちをな。ボーイズ！」
「うぉっ！？ サンマさん？」
そう、いつの間にやら二人の間に、サンマさんがにょきっと割り入っていたのだ。
「オシャレなブレスレットもいいが、このカチューシャもオシャレアイテムだぞ」
仕事熱心なサンマさんは、春彦と響也にも、簡易猫耳コスグッズを手渡しに来たらしい。
春彦はふるふると首を振った。
「あー猫耳カチューシャはイイっすよ。俺パーカー買ったんで……」
だがサンマさんは譲らない。
「フッ、パーカーの下にもカチューシャをするとモア・ベターだぜ」
と、なかば無理矢理、春彦の手にカチューシャを押しつけてきたのである。
――うわー、やっぱ当日、つけなきゃいけねーのか……！？
ふと春彦が顔を上げると、なぜか響也の姿がない。ついさっきまでここにいたのに。
響也は、
そのときすでに、
数メートルの彼方にいた。
「篠崎てめぇ一人逃げようとすんじゃねぇっ！」
ギラッと目を光らせると、餓狼の勢いで春彦は響也を追い、飛びついて羽交い締めにした。
「いや、俺は他の買ったから……な？」
「その条件は俺も同じだ！ てめぇ一人カチューシャを逃れようったって甘ぇんだよ！」
ぐいと首だけめぐらせて春彦は声を上げる。
「サンマさん！ この男の頭にカチューシャを！」
「ちょ、ちょい待て！ 受け取るだけで終わりじゃないのか！？」
ここで響也の声が１オクターブ高くなった。
「観念するんだな、ボーイ。猫耳、きっと似合うぜ」
サンマさんが響也の目の前にいる！ カチューシャを持って！
「あ、いや……サンマさん……俺は……」
すぽっ。
響也の頭に、青と黒のギンガムチェック（男の子用らしい）模様の猫耳カチューシャが収まった。
「ははは、可愛いぞ、篠崎ぃ」
春彦は満面の笑顔だ。ところが次の瞬間、春彦の手に合ったカチューシャはサンマさんの手に移り、たちまち、
すぽっ。
春彦の頭にも、青と黒のギンガムチェック（ちなみに女子用は赤と黒）模様の猫耳カチューシャが収まった。
「お前もキュートだな！ たまらんな！ 楢木！」
自分のことは忘れて爆笑する響也なのであった。
「グッド！ 猫耳両成敗というやつだ！」
などとサンマさんは意味のわからないことを言って、
「当日も付けて来いよ！ ボーイズ、また会おう！」
のっしのっしとその場を去って行った。それにしても魚類が猫耳していいものか――。
「……ふっ」
「へっ」
響也と春彦は苦笑いして顔を見合わせた。
「つけてみると……まあ、いいかって気になってきた」
「しゃあねぇ、いきなり取ったらサンマさんが追いかけてくるかもしれねーし、このまま出るか……」
少し歩いたところで、また春彦が言った。
「篠崎てめぇ、マジ、よく似合ってっぞ」
「ありがとよ。そっちこそな。楢木」
「……なんで照れてんだよ」
「お前こそ」
結局そのまま、二人は購入物をレジまで持って行くのであった。
「服とブレスでかなり散財しちまったし、バイトにも勢をださねぇとなぁ」
「バイト？ 楢木はバイトしてるんだな。どこで」
「洋菓子店だよ。『Raton』って言って……」
話の種はつきそうもない。
互いに一人、友達（ダチ）が増えたようである。
ラムレザーだろうか。赤×茶の二重巻きで、軽いがしっかりと編み込まれている。銀のプレートが付いており、プレートには、小さくネコの模様が彫り込まれていた。
「これ普段使いによさげじゃん？」
春彦が訊くと篠崎響也はうなずいて、
「へぇ、いいな。似合う」
と微笑した。
アクセサリー、とりわけブレスレット類は身につける相手を選ぶ。野暮な人間が身につけようものなら、それこそ、とんでもなく下世話になりかねない。けれども都会的でありながらどこか、男っぽい野性も感じさせる春彦なら、まさしくぴったりのアイテムのように映った。
「よーし、なら買うとするか」
こちらはそれほど高級品ではないものの、月水金だけ食パンオンリー予定だった春彦の来週のランチ環境は、どうやらウイークデー全部がそうなりそうな気配だ。
「俺はどうするかな……あまりにも可愛すぎるデザインはちょっとあれだしな」
対抗するわけではないが、響也もピアスを探すのだった。シンプルだけど、自分らしいデザインのピアス……。
「これにするかな」
偶然、手が触れたものをしげしげと響也は眺めた。形状はごくシンプルできれいな銀色、しかし真正面から見たら、嫌みにならない程度に猫の形になっている。猫の目の部分は海の底のような深い青だ。
「お、いいの見つけたな」
春彦が顔を上げると、
「おう、俺も見つけたぜ！」
魚類と目が合った！
「あんたたちをな。ボーイズ！」
「うぉっ！？ サンマさん？」
そう、いつの間にやら二人の間に、サンマさんがにょきっと割り入っていたのだ。
「オシャレなブレスレットもいいが、このカチューシャもオシャレアイテムだぞ」
仕事熱心なサンマさんは、春彦と響也にも、簡易猫耳コスグッズを手渡しに来たらしい。
春彦はふるふると首を振った。
「あー猫耳カチューシャはイイっすよ。俺パーカー買ったんで……」
だがサンマさんは譲らない。
「フッ、パーカーの下にもカチューシャをするとモア・ベターだぜ」
と、なかば無理矢理、春彦の手にカチューシャを押しつけてきたのである。
――うわー、やっぱ当日、つけなきゃいけねーのか……！？
ふと春彦が顔を上げると、なぜか響也の姿がない。ついさっきまでここにいたのに。
響也は、
そのときすでに、
数メートルの彼方にいた。
「篠崎てめぇ一人逃げようとすんじゃねぇっ！」
ギラッと目を光らせると、餓狼の勢いで春彦は響也を追い、飛びついて羽交い締めにした。
「いや、俺は他の買ったから……な？」
「その条件は俺も同じだ！ てめぇ一人カチューシャを逃れようったって甘ぇんだよ！」
ぐいと首だけめぐらせて春彦は声を上げる。
「サンマさん！ この男の頭にカチューシャを！」
「ちょ、ちょい待て！ 受け取るだけで終わりじゃないのか！？」
ここで響也の声が１オクターブ高くなった。
「観念するんだな、ボーイ。猫耳、きっと似合うぜ」
サンマさんが響也の目の前にいる！ カチューシャを持って！
「あ、いや……サンマさん……俺は……」
すぽっ。
響也の頭に、青と黒のギンガムチェック（男の子用らしい）模様の猫耳カチューシャが収まった。
「ははは、可愛いぞ、篠崎ぃ」
春彦は満面の笑顔だ。ところが次の瞬間、春彦の手に合ったカチューシャはサンマさんの手に移り、たちまち、
すぽっ。
春彦の頭にも、青と黒のギンガムチェック（ちなみに女子用は赤と黒）模様の猫耳カチューシャが収まった。
「お前もキュートだな！ たまらんな！ 楢木！」
自分のことは忘れて爆笑する響也なのであった。
「グッド！ 猫耳両成敗というやつだ！」
などとサンマさんは意味のわからないことを言って、
「当日も付けて来いよ！ ボーイズ、また会おう！」
のっしのっしとその場を去って行った。それにしても魚類が猫耳していいものか――。
「……ふっ」
「へっ」
響也と春彦は苦笑いして顔を見合わせた。
「つけてみると……まあ、いいかって気になってきた」
「しゃあねぇ、いきなり取ったらサンマさんが追いかけてくるかもしれねーし、このまま出るか……」
少し歩いたところで、また春彦が言った。
「篠崎てめぇ、マジ、よく似合ってっぞ」
「ありがとよ。そっちこそな。楢木」
「……なんで照れてんだよ」
「お前こそ」
結局そのまま、二人は購入物をレジまで持って行くのであった。
「服とブレスでかなり散財しちまったし、バイトにも勢をださねぇとなぁ」
「バイト？ 楢木はバイトしてるんだな。どこで」
「洋菓子店だよ。『Raton』って言って……」
話の種はつきそうもない。
互いに一人、友達（ダチ）が増えたようである。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年10月12日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年10月19日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年10月19日 11時00分
